都 忘 れ
 

 階段を昇る時も 降りるその時が来たとしても

 変わらない優しさを胸に秘めて 胸に秘めて この足で歩けたなら

 

ミヤコワスレ。花の名前。

春から夏にかけて、白、又は紫の小さな可愛らしい花を咲かせます。

由来は、昔…平安時代?鎌倉時代?(おい…)まで遡ります。
京を追われ、荒涼とした大地・東(あづま)の国…
今の関東地方まで、あての無い放浪の旅を続けた貴族の若者がいました。

華やいでいた、帰れない故郷を思い出すだびに、いつも望郷の念に打ちひしがれていたそうで。

そんな或る日、旅の途中にミヤコワスレを見かけたのでした。

頼り無さげな風情の花だけれども、凛と大地に根を張り、真っ直ぐ咲いていた花。
若者は、ただひたすらその小さな花を見つめながら、「都(故郷)を忘れるほどに美しい花だな」
と、幾粒も涙を落としたそうです。

「都を忘れるほどに美しい花」…転じて、「ミヤコワスレ」。
花言葉は、「別れ、しばしの憩い」かな。由来の話からなんでしょうね。

少し前、誕生花を調べたんですが、何と、5月26日の誕生花に、「ミヤコワスレ」も連なっておりました。
他は、「オリーブ」、「チャ(茶)」、「ワサビ」とまぁ…なんというか、泣けるほどに渋過ぎるというか(笑)。
流石たっくんだなというか(大いに納得)。

メンバーそれぞれ、特別な想い出がある歌です。
ヒサシさんはどうかは分かりませんが(*▽*)、他3人は、「特に思い入れのある歌だ」と言ってます。

「都忘れ」にしたいと、最初たっくんが提案した時、他のメンバーは反対したそうです(汗)。
理由は、「演歌(バッサリ)」みたいだから(笑)。

だけど、どうしてもこの歌は「都忘れ」じゃなきゃダメなんだと、たっくんが押し通したそうな。

GLAYの歌。
そう、たっくんは言いました。てっこさんも言いました。
「今までのGLAY」と、「これからのGLAY」、どっちも静かな、でも愛情あふれる目で見つめてる、と。

照:「GLAYは結構シビアだと思いますよ。この(売れてる)状態がいつまでも続くわけじゃないっては分かってるし」

ブレイク時に発売したアルバム『BELOVED』に、あえてこの曲を収録した意味は、照さんの発言からも伺えます。

この曲のミックスダウンのために、スタジオに車で向かったGLAYの4人。
途中、ベイブリッジを渡っていた時の夕日が、あまりにも綺麗だったそうな。
その時に車中に流れていたのが、完成したばかりの「都忘れ」。
誰も一言も喋らず、じっと曲に聴き入っていたと、後日話していました。

夕日に照らされながら聴く「都忘れ」…メンバーさんは、何に想いを馳せていたんだろ。

幼い恋人達を歌ったような詞から始まり、サビを越えた辺りから急にシリアスな風景へと変わってゆく。
…とは、たっくんのお話。

恋愛の歌のようでいて、実はそうじゃない。そこがタクロウのいやらしいところ(笑)。
…とは、てっこさんのお話(笑)。

ほんっとにねー、この曲は丸ごと大好きなんすよー。
何から何まで。1フレーズも漏らさず。TAKURO天才だー!って思う。心から(笑…笑うなよ自分)。

 

「もう2人は お互いの過去に戻れない」 君がつぶやいて歩いた帰り道
 ねぇ このまま世界の果てまで行けるかな? 不意に傷つけた人達を想った。

 

過去には戻れない。
未来へと進むしかない。
このままずっと歩いてゆけば、いつか世界の果てまで辿り着けるのか。

……世界の果て(涯て)って、素晴らしい景色が見える場所なのかな。
それとも唐突に終点が待ち構えてるだけだったりして。それはそれで。

出逢いと別れを繰り返しながら、人は未来へと進んでゆく。
場面場面において、傷つけてしまった人もいる。理解り合えなかった人も。

これ、みんなそうだよね。
ハタチを過ぎて、「自分は今まで誰も傷つけていないよ!」って人はいる訳がない。いるのかな?

で、次はやけに現実味を増すトコロ。

 

この世はまるで意志のある生き物のように 満たされぬ運命を呪うよ
時代が僕らの背中を押したことさえも シナリオの一部だと笑った

 

…切ない(T■T)。
ここが、とっても切ない。歌詞カード見た瞬間から切ない(涙)。
なんてこったたっくん(語呂いいな、なんてこたっくん⇒何て子たっくん/汗)。

満たされぬ運命。
全て世は事も無し、ではなく。誰かの意志の元に動いているようで、立ち尽くす時がある。
悲しいかな、全てを受け入れてはくれなく、そして満たされる事はない。

やっと売れ始めたGLAY。
けれど、売れた事も、時代が織りなすシナリオの一部に仕組まれていたに過ぎないと、笑い飛ばせる強さ。

焦ってなんかいないんだよ。
「自分達の力だけでここまで来れたんだ!」っていう喜びじゃなくて、「そうなったんだ」、と。
もちろん、心はどうだったのかは知る由もないけど、「これが自分達の立ち位置だ」って言い聞かせてるような。
「早急に『自己の確立』が必要とされるようになった」と、たっくんは言ってました。当時24歳。

 

階段を昇る時も 降りるその時が来たとしても
変わらない優しさを胸に秘めて 胸に秘めて この足で歩けたなら

 

それってタブーなんじゃないか?って思ってしまう、「その後」の事についても、歌われてる。
普通なら、「階段を降りる」時って、なるべく考えないようにっていうか、何だか縁起が悪いっつうか(^^;)。
だけど、この人達は違うんだよね。何もかもから目を反らさずに対峙しててさ。
どんな時でも変わらない優しさを持って、時代に流されずに、自分達の意志で行きたいんだって。

後に発表された、『ひとひらの自由』。

 

長い歴史の上 僕らの存在は ちっぽけな川の流れにたとえる事ができるだろうな

 

諦めかけ、絶望しながらも、「振り向かず、振り返らずに」と、未だ戦ってる。
5年の歳月を経てもなお、「都忘れ」の頃の気持ちを失くしてない。

 夢中で伸ばした指の先に 触れるものは何?

 どこまでも澄んだ君の瞳 降り注ぐ雪が舞う

…(T▽T)。
管理人さんの心の琴線に触れる、たまらないフレーズです。
ここと、あと「カーテンコール」ですな。管理人さんが未だにこうして粘っているのは、この2曲があったから(笑)。

 

ただ在るだけで そしてそれは 何のくもりもない

この必殺の言葉。近いウチに『カーテンコール』も語り倒す予定です。

夢中で伸ばした指の先に触れるもの。
儚いもの。夢とか、希望とか、叶えたいもの。

澄んだ瞳に映るもの。
天上から舞い降りる雪。

冷たい、雪。
掴んだら、きっと体温に溶けてしまうよ。

手にしたくて、一生懸命手を伸ばしても、掴んだと同時に消えてしまう。
それでも純粋に求める、求め続けてる、ひたむきさというか、真摯さに5000000バッチ(?)。

夢は、手にした瞬間に消えるもの。
静かに悟っていながらも、追い続ける事は決してやめない。
そういう覚悟を込めてるんじゃないのかな?と思うと、感無量になります。

このアルバムが発売された後。
GLAYは、あまりにも売れ過ぎてしまった。

たくさんの人達の心を捉えて、みんながGLAYの楽曲を口ずさむようになった。
そして、アリーナツアー、スタジアムツアー、ドームツアー。

前人未到の、20万人ライブ。
幕張。

掴んでは呆気なく消えてゆく夢。
…カラッポに(゜д゜)。ポカーーーーン。

たっくんはカラッポになり、てっこさんはヤサグレまくり(懐古)、殺伐としてたGLAYさん。
そんな悶々とした日々の、ジロウさんプロデュースライブにて久し振りに披露された、『都忘れ』。
あの時、この曲を歌ったのは…選んだのは、本当にグッときたですよ。

たくろーさんの表情も(歌の世界に入り込み過ぎだった…)。ジロウさんの表情も(感慨深そう)。
ひさしさんの両膝をキッチリ揃えて(笑)、ピッキングする姿も。
「すげー思い入れのある曲です」と、ニッコリしながら話すてるさんも。

この日のために、用意された曲のような、そんな気さえした。

 

春に芽生えた恋心 計画を練る夏の午後 終わらない秋を過ぎ
手ぶらだった2人には ゆずれない愛がある

 

『ひとひら』にも書いたけど、あの99年12月近辺は、マジでGLAY存続の危機だったとか(−_−;)。
解散も視野に入れて、重苦しいミーティングが重ねられていたそうです。

……もしもがあるとするならば。
もうひとつの決断を下していたなら、GLAYさんは、今どうなっていただろう。

ゆずれない、愛がある。
それが、最後の最後に残った、ひとかけらの「自由」だったのかもしれません。

 

誰にも見せない願い事を 今夜解き放とう
いつかは消えゆく魔法でもいいよ 共に今を生きてる

 

「ミヤコワスレ」を見つめながら涙を落とした旅人は、故郷に帰れる日を切望してた。
何か、この旅人が、どこかたっくんに重なるような気がします。
あ、まろ眉毛たっくんは想像するとスゴイものがあるけど★(怖)

いつも、゛何か゛を探してる。
戻れない日々であり、見えない未来を。

タクロウさんの心を癒す花。
「都忘れ」という、何とも美しい響きのある花の名前を戴いた曲。

メロディーと言葉がこんなに優しく寄り添っている曲は、他を探しても見受けられないです。

2000年元旦の『pure soul MOVIE』。
東京ドームファイナル。
ステージを降りた後のエレベーターの、背中を震わせながら嗚咽するタクロウさん。

控え室にようやく辿り着き、ビール缶を持った3人が待つテーブルへと。
ヒサシさんがごく普通にさり気なくビール缶を渡したんだけど、力が入らないらしくて缶を落としてしまうたっくん(ホロ)。
たっくん苦笑い。3人は、何とも温かく、そんなたっくんを見上げてて。

場面が変わり、すぐ流れ出したのが、『都忘れ』オーケストラバージョンでした。
鳥肌が出るくらい感動した瞬間でした。

夢。
いつかは消えゆくもの。
いつか覚めてしまうかもしれない。

けれど、今を一緒に生きてる。

 

I can't feel love,without you...

 

あなたがいないと、愛を感じる事ができないから。

だから、今も、一緒にいる。

 

20020507 up