Christmas Ring
季節柄、今を逃したら来年の12月まで放置せざるを得ないので、今年のうちに。
これは、『ツボ』な曲です。
私にとって、『Missing You』と同じカテゴリに入る楽曲。
そこのカテゴリには『口唇』、『月に祈る』、『SPECIAL THANKS』などが入っています。
最初に聴いた時に、「うわああああああツボなのねー!」って感じ。
意味分かんないですが、頭で何も考えないで、ただ聴いてみただけでピーンときた曲。
…これが本来の当たり前の聴き方なんですけれども…(苦)。
初めて聴いたのは…ひょっとしたらアルバムかな。
この曲が、発売前には決してラジオ等でかけない曲だったと思います。
アルバム買ってからのお楽しみ♪みたいな。
で、アルバムコンポに入れて、聴きました。
歌詞の一部分は、シュウさんのラジオで分かってたんだよね。
ココです、ココ。
シュウ:「"「幸せになる」が口癖になるほど酔った日は 逢えなくて"…深いねぇ」
琢:「…深い!タクロウ深いなり!」(←何故コロ助)
次:「これ聴いた恋人達が重苦しい雰囲気になっても、俺ら責任は負えませんから(笑)」
テルさんは、この曲を色に喩えておられました。
照:「黒!」
…だそうで(合掌)。
とにかく、全部がツボ。
歌詞の世界観がおそろしくツボ。大好き、こういうの(ウットリ)。
大好きっつうか、ものすごく共鳴するっつうか、聴いて安心するっつうか。
言葉選びがツボ。理屈じゃなく、縒られた言葉の響きが聴いててとても気持ちいい。
GLAYの曲は、得てして「つらいけど、前を向かなくちゃ」ってテーマの楽曲が多かったり。
殆どそう、「絶対に諦めない主人公」が殆ど。作者自らを奮い立たせるような。
けど、前述の楽曲は、ヌルーリヌルーリと「暗いもの」に身を浸してる感じ。
「暗いもの」…諦めとか、絶望とか、悲観とか。
あくまでも、私個人の見方です。
で、そこに励まされるんです。
「たまにはいいよね、前を見ることをちょっとお休みしてもいいよね」と。
前に進むんじゃなくて、敢えて立ち止まりたい時に聴くと、ホッと安心したり。
厳かな暗闇というか。
半端じゃなく、暗い曲(讃えています)。
クリスマス。
多くの人は、この言葉に楽しくロマンチックな夢を見るでしょう。
大好きな人達と一緒に過ごせる日。1年に1度の日。
贈り、贈られるプレゼント。
「来年も一緒に過ごそうね」と、甘く交わされる約束。
戦争においても、「クリスマス休戦」…「クリスマスは殺し合いをしない」、という決まり事もありました。
イエス・キリストが生まれた日。
イエスが生まれた事を祝福しながら過ごす人は、今では敬虔なクリスチャンのみ。
「目の前にいるあなたが生まれた事」を、神に感謝する日、だね。
全人類の罪をその身に請け負って処刑されたイエス。
そんな彼が生まれた日に、人々は喜び、無邪気に幸せに過ごす。
私達ってやっぱり罪深いもんなんだなぁと、ふと思いました。
もちろん、イエスが「悲しめ」なんて言うはずはないですよん。
むしろこれ以上ないってほどに喜んでいるでしょう。
…あたしも病んでますかね(´ー`)
幸せな日=クリスマス。
日本のクリスマスを題材にした曲も、やはりパーティーソングが多くて。
ヤンヤヤンヤと賑やかで楽しいクリスマス曲が、この時期になると寒い街を包み込みます。
そ…そこで!(突然)
GLAYの「Christmas Ring」。
タイトルに”Christmas”入っているのに、何ともクリスマスらしくない重苦しさが漂ってるではないですか。
そう。
何故か、クリスマスをテーマにしたGLAYの曲は、重いのです。
つってもまだ2曲(仮タイ入れれば3曲)しか発表してないのですが。
クリスマスを主題にしてたくさん作られても、バンド内飽和状態になってしまうけど(^^;)。
「テッコのホリークリスマス」は、日本の風景だけに留まらず、世界に目を向けている。
タクロウさんは、「どうしても雲に覆われた感じ…函館の冬を思い出すような曲になる」と。
それはきっと「クリスマス」に限定されるんじゃなく、「冬の歌」に集約されるものだよね。
GLAYさんの冬の歌で幸せ感がほんのり漂っている曲は…「都忘れ」ぐらいかな。
曲調が明るいんであって、詞はやっぱり深いものを見つめてるんですけれども。
「暗い」というか、「救いが何処にもない」というか。
タクロウさんは、クリスマスなんかの記念日の1週間前になると、「別れたい病」に襲われるそうです(笑)。
DNAに染み込んでいるとか(笑)。別れたくて別れたくてウズウズしてくるという(謎)。
どこまで本気なのか分からないのがタクロウさんですが、もしかしたらこれも起因してんのかな(笑笑)。
んなこたぁ〜ない、と、シメておいて。
クリスマスの浮かれ気分を一気に突き落とすような詞の世界を。
世の中のクリスマス幻想を全部ひっくり返らせてる曲かもしれないです。
12月は人がせわしなく とても嫌い
ネオンライトが 網膜にはりついて
吐息が聞こえるぐらいに そばに寄ってみて ここにいて
き、嫌いとな。
冒頭から結構赤裸々です(赤裸々?)。
何でまだギャグ調なんだろう私(;´Д`)。
通り過ぎる人みな、忙しそうに歩いている。
それが「嫌い」の理由になるのかは、いまいち分かりませんが、余計孤独を感じてしまうからかな。
誰もが自分という存在には目もくれずに足早に通り過ぎ、せわしなく時間が過ぎてく12月。
夜の街のネオンライト(明かり)。
暗闇に、目に刺激の強いきらびやかなライトが浮かび上がる。
ネオンライト…歓楽街ってイメージがあります。歌舞伎町というか、閑静な住宅街じゃないよね。
強烈なライトが、見たくもないのに網膜にはりつく。ますますウンザリする。
そんな、12月。
余計に孤独を抱えてしまった心は、ただひとつの存在を求める。
吐き出す息が聞こえるくらいに、そばにいて欲しい。ずっとここにいて欲しい。
テルさんの歌い方がとても色気満載。
色っぽーい。たまらない切実さが伝わってくるようです。
X'masには欲しがってたリングを買って
あなたが生まれてくれた事感謝する
クリスマス。
欲しがっていたリング。
たぶん、「愛情の証」だろうに。
「愛の形」を、「買う」。
こーゆー表現に、どこか冷めてるような感じを受けたのは、私だけでしょうか。
「あなた」が生まれてきてくれたことを、感謝するっていう。
買って、与えて…感謝になるのかなぁ。リングだけでずっと繋いでいられるとは思えないんだけど。
「幸せになる」が口癖になるほど酔った日は 逢えなくて
…超切ない。
言葉選べって感じですが、「超」ですって。
語彙不足でホントすいません、「超」ですってば。
クリスマスには逢えても。
逢いたくても逢えない日があるなら、どうしようもないじゃないか。
リングを買っても、「形」を買っても。
逢いたい時に逢えないのなら、ますます暗闇に飲み込まれるよ。
こゆ時の彼を想像してみる。
ベロンベロンに酔っ払っているタクロウさん。
もう、飲み友達の耳を掴んで恋愛について大討論会なんてしてたりして(実話)。
んで、すこぶるご満悦状態。
「わーい!幸せになるぜー!幸せになるんだぜー!」と、大盛り上がりの最高潮(タクロウさん的に)。
っていうかさ。
「幸せになる」って、酔わなきゃ言えない…酒の席でしか言えないってさ。
普段、どれだけ気持ちを押さえ込んでるんだろうかと思ってしまう。
いつも言えないから、酔ったときに開放的な気持ちになって、口癖のように繰り返して言葉を刻む。
そして、酔った自分に突きつけられる現実。
「逢えない」という現実。――……救いは、無い。
僕達なりの愛の表現は 暗い海洋にさまよう船 月影のよう
素敵な表現…。
形の無い愛。愛の表現。
「僕達なりの」、というのは、逆を返せば「俺達しかできない」って意味になる。
誰にも出来ない、俺達だけの愛し合い方。
けれど、それは愛の賛歌ではなく。
愛の素晴らしさを説くような愛し合い方でもない。
僕達しか出来ない――……。
暗く、光の射さない広過ぎる大海原を、いつまでもあてもなくさまよい続ける小さな船のような。
真っ暗で何も見えやしない海、小さな船に2人きり。
辿り着く場所が何処なのかも分からない。
もうひとつ、わずかな月の光によって出来たに過ぎない、おぼろげな影のような愛の表現、か。
愛という形の無いものは とても嫌い
片方の心が冷めれば終わるから
2番に入り、闇の部分が更に突き詰められていくようです。
もうクリスマスがどうのじゃなくて、クリスマスにはふさわしくない曲一直線に(汗)。
「愛という形の無いものは とても嫌い」って、初めて読んだ時衝撃だった。
「うへえ!あのタクロウさんが「愛なんか嫌いだ」なんて思ってるのかー!」ってビックリ。
「こういう闇の部分も書けるようになった。大人になりました(笑)」
と、タクロウさんはどっかのインタビューで話しておりました。
確かに、以前のタクロウさんだったら書かなかったかも。
美しい部分だけを言葉にして、歌にしていたGLAY。愛情の中の美しい部分。
けれどここ2〜3年は、美しい部分だけじゃなくて、それと表裏一体の闇の部分にも焦点を当ててる。
どうなんだろ。
この心境の変化は。
美しい部分を見つめて作った歌で、GLAYは大ブレイクしたよね。
「BELOVED」、「HOWEVER」、「BE WTIH YOU」が代表的な例。
「あなたを愛してる」(BELOVED)
「あなたを幸せにしたい」(HOWEVER)
「あなたの愛になりたい」(BE WITH YOU)
「自分」と「あなた」の歌。
心が通い合う「あなた」がいてくれたからこそ、生まれた歌。
んで、その後のひとつの結末…終焉。
「片方の心が冷めれば終わる」。
さーめーちゃーだーめー(゜Д゜;)。
しょうがない。これはしょうがない。熱は永くは続かない。
身体を重ねて感じあえるものの深さに脅えてる
ホッホウ…。
どこまで書き込んでいっていいのかな(笑)。
いいかな?いいかな?ウチは18禁サイトじゃないんだけど。
精神的な確かさ。
身体的な確かさ。
形あるものは、どっち?
人に限らず、生きるものは形あるものを求めるだろう。
両方を求めるのは、人間だけ。
心は、分からない。変わるものだから。
でもね、身体はね。
形があるものだから、これ以上確かなものはないんだよね。
それこそ、「存在するあなた」そのものだからね。
どっちも、大切なもの。
脅えてしまう。
脅えるタクロウさん(想像中)。
深く深く感じるものに対して脅えてしまうってのが、何だか痛ましいというか。
信じようとするたびに、何処かでブレーキがかかる。
無防備に信じた後に来るかもしれない「終わり」っていう現実に、脅えてるの?
深いところに行けば行くほど知らない事…分からない事ばかりで、怖くて脅えてるの?
加速する世迷の大人の群れ 見せかけの悪の正論者達 黄昏に死す
ここがとても好き(´∀`)。
響きがとってもカッコイイ〜♪(それだけかよ)
タクロウさんの叫び、でしょうか。
外界に対しての。外界って、タクロウさんを取り巻く全ての事象みたいな。
怒りが込められてる。
とっても珍しい。珍しいだけ、溜まって溜まって爆発したような。
迷走し続ける世の中。
「世迷」が、広辞苑引いても出てこない…タクロウさんの造語スか?
不安定な世の中で、うわべだけの正論を主張する奴等。
「これが正しい事なんだ」と、鬼の首でも取ったように吐き散らす奴等。
それは、痛みの中で得たものなのか。
心を擦り切るようにして生まれたものなのか。
真実(本当)に正しいものなのか?
黄昏に死んだのは、誰だろう。
ふたつ思いました。
ひとつは。
加速していく世情の中で、正論を唱えても誰も見向きもせず、そのまま力尽きた人。
もうひとつは。
うわべだけの「まっとうな言葉」に当たり散らされ。
「正論」を唱える人の裏に潜む「悪」に攻撃され。
黄昏…誰そ彼。
沈む太陽によって光は力を失い、近くにいる人の顔も判別出来ない時刻。
何もかもが沈むように、傷ついてボロボロになって斃れた人。
…と、こんな風に思ったのですが。
「悪の正論者達」って、複数形だから、そっちは自分自身ではないみたい。
それとも、自分自身の事を言っているのかな。
自嘲なのでしょうか。「いつか死ぬよ」と、自嘲気味に書いたのでしょうか。
否、もう1度死んでたっけ(幕張1999←カッコイイ…?)。
「微笑みも涙も受け止めて」とか、「一緒に暮らそう」とか、「愛を束ねて」とか書いてきたけど。
そんな綺麗事だけの世界なら、こんな荒んだ世の中にはならない。
自分自身に向けての言葉なら、ものすごく痛烈な皮肉と自嘲だな。
明日を計る術などなく 永遠を誰も見たくない
あなたの声が耳に響く それだけで胸が熱くなる
「来年も一緒に…」と、束の間の夢を見る。
「永遠」を…「ずっと」を欲しがりながら、移ろってゆく心。
明日あるはずの永遠を保証するものなど、どこにもない。
明日を繋ぎとめられるもの、明日を知ることは、誰にもできないのだから。
「永遠」なんて、誰も見たくないんじゃないか。
そんな絶望が、ひょっとしてタクロウさんの心の奥に燻り続けてるんじゃないかと思うのです。
けど。
あなたの声を聴くだけで。
声が耳に響くだけで、たったそれだけで胸が熱くなる。
脅えながら、誰よりも「ずっと」が欲しいのに、迷いながら。それでも。
声を聴いて、あなたを感じるだけで、泣きたいような気持ちに駆られる。
永遠よりも。
今、あなたがいるという事。
あなたを感じられる事に、幸福を感じているような。
今年も雪のない年の瀬 手を繋いだら夜が明けるね
去年と同じ気持ちでいる 瞳を閉じたら消えそうなあなたは
「それゆえに愛が深まる」と抱き合いながら うわの空
手を繋いで。
心を繋いで。
雪の降らない、東京の空。
今年も、去年と変わらない、雪のない年の瀬。
そんな変わらぬ景色と同じように。
去年と同じ気持ちで、祈るような気持ちで夜を明かす。
「それゆえに愛が深まる」って、どういう意味だろう。
なにゆえなの?「瞳を閉じたら消えそうなあなた」にかかるの?
「幸せになる」が口癖の夜なのに、逢おうとしても逢えない事?
焦がれれば焦がれるほどに愛は深まるけど、故意だったなら。
そして、最後の最後のフレーズが、「うわの空」ですよ。
タクロウさんが回りに回ったグルグル思考が、最後の最後にひっくり返されるんスよ。
ひっくり返されるっていうか、「今までのはなかったことに…」って感じスよ。
こんなに愛してるのに。
去年と変わらない気持ちでいるのに。
今にも抱きしめた両腕から消えてしまいそうな、目を離したらいなくなりそうなあなたは。
「そうして愛が深まる」と言いながらも、心は……ここには、無い。
わー!わー!
欲しいリングを買ってもらって「うわの空」ってー!!(笑)
きっとリングの方に気が向いてたんだ!…それも救いようがないか(汗)。
心、ここにあらずの状態を、ちゃんと分かってる。
結構キツイよね、精神的に。分かるものだもんね。
人一倍、他人の感情の機微に敏感な人だろうから。
人一倍…。
人一倍分かっちゃうから、信じ切れずに、脅えてるのかな。
なんとも切ないです。知りたくないものを知ってしまう。
だけど、あなたの声を聴くだけで、たまらない気持ちになる自分。
おお、この曲にも、そんな気持ちを歌う箇所があったでした。
『声を届けてよ いつものように それだけで距離さえ超える』
「Missing You」の一節です。
距離さえ超える「声」。
『あなたの声が耳に響く それだけで胸が熱くなる』
「うわの空」すら超える「声」。
っていうか、似てるね、このふたつのフレーズ。
いや、むしろ『Missing You』と『Christmas Ring』が似ているんだね。
そりゃそうだ、同じ人が作ってるんだもんね(初心)。
「うわの空」には「ヤラレタ!」と衝撃を食らいました。
タイトル、「うわの空」がいいと思う。いやホントに。
…「うわの空」になってなきゃ、やってらんねえんじゃねえかと、今ふと思いました(開眼)。
ドームツアー。
イントロが流れ出し、4つの本物の炎がテルさんを囲みます。
余計な演出は一切無し。スクリーンも無し。
段々と数が増えていく炎。サビに辿り着く頃には、ステージ一面を炎が照らします。
ステージの端に沿って、揺れる炎。
メンバーは見えないんだけど、炎の幻想的な光景に言葉を失くしました。
炎の十字架のような。
十字架の真ん中に、テルさんがいるような。
ひたすらに荘厳な炎。夜の滑走路みたいな感じでもありました。
うん、神聖な雰囲気だった。
炎の十字架…全てを燃やし尽くすような恐ろしい炎ではなく、もっと重い…。
「Christmas Ring」。
来年も、その次の年も、変わらずに。
ずっと変わらない気持ちで、明日を見る。
「永遠」を、見る。20021227