第二十話 鴨を酔わすな
文久3年(1863年)4月8日 京
だんだら羽織披露目の回でした。
とうとうというか、いよいよというか、新選組らしくなってきたっすねえ…(感無量)。
新選組といえば、赤穂浪士の羽織を真似た、浅葱色のだんだら模様の羽織が有名です。しかし、如何ともし難いほど、致命的に「ダサい」。
多くの新選組ものでは、この羽織を考案したのは土方という見解ですが、
「洒落者の土方が考案するわけないじゃないか」と、大河では見事に覆してくださいました。近藤、土方、山南、芹沢、新見、又三郎、野口、お梅さんが縁側で茶を飲んでいます。
今上京している将軍家茂が大坂沖を視察するというので、壬生浪士組も将軍警護に赴く事になりました。
それを記念(?)して、皆お揃いの隊服を作ろうと鴨さんが提案。すかさず近藤さんが賛同しました。
近藤さんの目が何だかキラキラしています。「この時を待っていた!」という感じです。近藤:「私は赤穂義士が好きなんです!彼らこそ武士の中の武士だと思ってるんです!」
土方:「おい、何言ってんだ、近藤さん」
山南:「赤穂義士って、あの、だんだらの…(自分の袖を見せながら)」
お梅:「なら、色は浅葱色なんてどうでっしゃろ?」
土方:「…勘弁してくれよ、あんなネギの葉っぱ色…」山南さんと土方さんは物凄くイヤそう。
「浅葱色」というのは土方さんの言う通り、ネギの葉っぱの色からきてます…薄青緑?
そんな土方さんの必死とも取れる悪態を鼻で笑う鴨さんと新見。芹沢:「…ったく、学の無い奴はこれだから困る」
土方:「………」
新見:「浅葱色とは死に装束の色だ」そうそう、ソレなんです。
武士は元来浅葱色の装束を着て、切腹を果たしました。
武家は、浅葱色の装束をいつも用意してたという事です。
なので、新選組隊士がいつ死んでも切腹できるようにと、浅葱色の羽織を隊服に採用したそうです。
だんだら模様なのは、本当に近藤さんは赤穂義士が好きだったとか。
彼らも「義」に生き、「義」に命を散らしていった武士でした。近藤さんの心の琴線に触れたんでしょうな。
ちなみに羽織は大丸に発注。あの大丸です(笑)。あれよあれよと決まっていく隊服。
お梅さんが何か言うたび、睨みつけながらわざとらしい咳払いを連発する土方さん。
嫌いな相手に対して牙を剥いて威嚇する、気性の激しい犬のようです。
はじめちゃんは、威嚇をすっ飛ばしていきなり飛び掛かるタイプですね。
その後近藤、土方、山南だけが残りました。
「何だァ!あんの女は!!」とひどくおかんむりなのは土方さん。
「芹沢さんはお梅さんにぞっこんだから」と窘めるのはぞっこん侍の山南さん(笑)。土方:「これじゃあ壬生浪士組は、ますます芹沢だけのモンになっちまうぞ!」
近藤:「……俺は…それでもいいよ?」
土方:「(山南さんにすかさず)聞かなくていいから」土方さんと山南さんが並んで座ると、その座高の違いに見惚れてしまいます。
片方は正座でシャキッと背筋伸ばしてるし、もう片方は胡坐であり得んほど猫背だからね…。
この対比もおもしろいです。細かいなーー。今、壬生浪士組の勘定方を勤めているのは、芹沢派の野口。
自分達側にも、勘定出来る人材がいればいいのだが…と悩める山南さん。あの、山南さん。
勘定の達人なら、隣にいるじゃないですか。
多摩時代の武芸披露の時にも勘定方をテキパキと勤めたお人が。
場面も日にちも変わり、屯所の前で山南さん、平助、沖田くん、ひでが、机を出してきて座っています。
だんだら羽織を着てますぜーー!!!こう、一気に画面が今までよりも明るくなったような(´∀`)。
ひでじろうも、女形に変身!…って女の子だったんだよね。女の子っぽい柄と色の着物も似合ってますだ。あああああああああああああああ!!!!!!!!!!
門の影に同化してるもんだから、ウッカリ危うく見逃すところだったーーーー!!!!!
斎藤さんもお留守番組でした。4人とは少し離れたところに影と同化しつつ座ってました。
……まさに番犬…。山南さん、ニヤニヤしつつ回想スタート。
土方さんの命令で、この4人は壬生に残ったようです。
壬生に残って何をするのかというと、芹沢さん達がいない間に隊士募集。
鬼の居ぬ間に洗濯、というわけです。新入隊士を皆近藤派につかせる。それは名案だ、という風にニヤニヤする山南さんですが、
今の自分達にそいつらを食わせる財源などないという事に気付きます。
ニヤニヤ→ハッとする表情に変わるまで、およそコンマ0.5秒。
しかし、いらぬ心配だ、と土方さんはどこ吹く風。土方:「金なら心配しなくても芹沢達が持ってくる」
山南:「………」
土方:「あいつらを、とことん利用してやるんだ」芹沢さん達が無茶苦茶なやり方でぶん取ってきた金を、コッソリ使ってしまおうという算段だったのです。
土方さんと山南さんの密談、格子の外からゆっくりと薄暗い部屋の中を撮っていて、
すごーくブラックな密談っぽさが出ていましたよ。ここで山南さんのニヤニヤ回想終了。
平助が看板を付け替えてます。まだまだ続いていた熾烈な看板争い(笑)。
これ以上隊士を増やしても、住むところがあるんですかという平助の疑問に、
隣の前川さんの家の空いている部屋を借りる、という山南さん。前川さんちには六畳と八畳の部屋が四部屋ずつあります。
そこに50人の隊士を住まわせようという考えです。
一人頭何畳の計算になるかと山南さんに訊かれ、「?」な沖田くんと平助なのでした。ああ〜お梅さんが沖田くんをさらってゆく〜〜。
お汁粉デートに誘い出す事に成功、ヘラヘラと付いていってしまいました。
ひでじ…間違えた、ひでは勿論、平助も山南さんも穏やかではありません。山南:「お梅さんは沖田くんをからかってるだけですから」
ひで:「沖田さんはっ!?」
山南:「沖田くんは……(目を泳がせる)」
斎藤:「…舞い上がっている」
ひで:「そうでしょう!?」
斎藤:「純情な青年が性悪女に入れ込む…1番悪い形だ」……あんた、何歳ですか?(゜Д゜)
19の若い身空で、世の摂理をボソボソと呟くはじめさん。
こういう俗っぽい話題には食いつかなさそうだったので、意外でした。16歳で遊郭の専属借金取りだったもんね。
純情な青年が性悪女にたぶらかされる現場を、数多く目撃してきたのでしょう。経験値豊富。剣術一筋で、近藤さんやおみつさんに可愛がられて、純粋培養な沖田くん。
片や殺人歴あり、役人にも追われて京都では博打うちの用心棒稼業をやってきた斎藤さん。
「最強」の剣客同士の細やかな対比がおもしろいです。
ここで新入隊士登場!
河合奢三郎、後の新選組勘定方を勤める人物です。
見るからに弱そうです。近眼なのか、ものすごく悪い姿勢で字を書いてます。平助:「弱そうです…」
山南:「弱いと見せかけて、強い場合もある」北辰一刀流コンビの内緒話。
とりあえず、どれくらいの腕前なのかを試す事に。実技試験ですね。平助と同じ構えを、見様見真似で構える河合さん。
山南さんとはじめちゃんが「ダメだこりゃ」とアイコンタクト。
斎藤さん、羽織に袖を通さず腕組んで門に凭れる姿がおそろしいほど様になってます。平助が大上段から面一本。
見事に決まり、防具も何も付けてなかった河合さんはそのまま気絶してしまいました。平助:「どうわあ〜いじょ〜うぶですかあ〜〜〜?」
河合:「………(ノビてる)」
平助:「…ねえっ」はじめちゃん、河合さんを見てクスリと笑ってみたり。
はじめちゃんが笑ったーー!!!ちょーーかわいいーー!!!ヽ(@▽@)ノ
普段仏頂面か膨れっ面だけに、こう、時折見せてくれる笑顔がたまらんですね(*´Д`)。
しかも松原に大負けしたら、今度はしょんぼり(´・ω・`)してるしーー!!!
…かわええ…!
は!次に登場したのは松原忠司、後の新選組四番隊組長。
関口流柔術の達人で、後に新選組の柔術師範を勤めた人物です。
ちなみに剣術師範は、沖田くん、永倉さん、斎藤さんなどなどが勤めました。「おすわり」状態に飽きたのか、「俺がやろう」と、斎藤さん自ら率先して松原さんのお相手に。
お、自己主張し始めたのかはじめちゃん。良い傾向良い傾向。
松原さんは竹刀は受け取らず、素手で斎藤さんに向かいました。松原:「いつでもどうぞ!」
斎藤:「……やりずらいな…」正眼の構えから、表情ひとつ変えずに左突き。
大河の斎藤さんは右利きのようだけど、左突きが普通に出ました。
それを咄嗟に避ける松原さん。やはり河合さんよりも遙かに強そうです。正眼から、上段へ。
「静」の一本勝負を斎藤さんがやるのを観るのは初めてかも。
んで、アップになるんですが、はじめちゃんは完全に松原さんをナメてんすよ。
余裕の表情で、松原さんめがけて竹刀を振り下ろしたはじめちゃん。
しかし、寸分でかわされ、何と振り下ろした腕を掴まれて後ろに回られ、後ろ手に捻られてしまったのです。「……!」と焦りながら真後ろの松原さんを睨み上げるはじめちゃん。
威勢は良いのだけど、身体はまるっきし情けない状態です。数年前、江戸にて源さんと鴨さんにも腕を捻られてました。
これで3人目、はじめちゃん一生の不覚です。ナメてかかるのがよくない。
うんうん、まだ若いんじゃのう。「そこまで!」と、捻られた瞬間に山南さんの一声。
少し着物の襟元や髪が乱れたはじめちゃん、口唇を噛み締め、
放心したようにフラフラとその場を去っていきました(笑)。山南:「素晴らしい!是非浪士組の一員となって、我々と共に働きましょう!」
松原:「エエイヤァーーーッ!!!」はじめちゃん、どこに行ったのかと思ったら縁側のすみっこで縮こまってました(笑)。
膝を揃えて恥ずかしそうに頭をポリポリ…かっわええ……!!!
こ、こんなかわいい子でいいんだろうか!項垂れる姿もこんなにかわいくていいんだろうか!(落ち着け)
そして、目が覚めた河合さん。
「もう、お帰りになられて結構ですよ」という山南さんに頷いて屯所を後にしようとします。
しかし、偶然にも同郷だった松原さんに、実は大金持ちの米問屋の息子という素性を明かされてしまいます。
小さい頃から店を手伝っていた事もあり、算術は得意だと話す河合さん。山南:「六畳と八畳の部屋が四部屋ずつあって、そこに50人住まわせるとなると、
一人あたま何畳の計算になると思いますか?(ペラペラ)」
河合:「六畳と八畳の部屋が四部屋ずつあって、そこに50人住まわせるとなると、
一人あたまそうですね、一畳とほんの少しですかね(ペラペラ)」山南:「採用です!」
腹が捩れた…。
{(6×4)+(8×4)}÷50という事で。
すかさずかつてないほどの大声で採用を決める山南さん、最高だー。
あとは何だろな。
鴨さんが悔しくて泣き、桂さんが陰険いじめをし、歳が歌ったというところでしょか。
ああ、新見さんが自分のボスの弱点を近藤さん達に伝えたというのも大きいかと。新見:「芹沢先生は自分の弱点を突かれると臆病になる…。
…そこが先生が今一歩大きくなれない所以なのだな…」自分のボスの限界が見えているのに、それでも付いていくのは何故なのだろう。
このまま行けば、芹沢さんはますます小さくなっていくばかりなのに。
新見さんの芹沢さんへの忠誠心の在りどころがいまいち分からないような。
芹沢vs桂。
気に食わない長州の奴を弁で打ち負かしてやろうと、やる気満々の鴨さん。
「てめえらは自分達に都合のいい事ばかりを天子様に押し付けているだけだろう!」と一喝。
こないだの通夜の日に、久坂さんをコテンパンに言い負かしたのが相当気持ち良かったんやね。ちょっとどころか大いに心当たりがある桂さん、眉間にシワ寄せて本気ディベートモードに突入ー。
「あなたのしている事はなんだ!尊攘派のくせに幕府に仕えるとは矛盾している!」と反撃。
途端に狼狽する鴨さん…そこ言われたらもう黙るしかないです。
「尊攘派でもなく幕府側でもない君は、どっちつかずの中途半端なはぐれ者だ!」とトドメ。
鴨さん、口をパクパクさせてます、何も言い返せません。が、がんばれー。心の1番弱い部分を、手掴みで無理矢理引き千切られてしまいました。
カーッときた鴨さん、思わず刀に手を掛けようとするけれども、桂さんに扇子で制止されてしまいます。
弁舌で勝てなくて、力でも勝てない。あわわわわ。
桂さんは鴨さんと同じ流派、神道無念流の錬兵館の元塾頭です。桂:「桂小五郎に論戦を挑むとは、思い上がりにも程がある!
近藤君!なぜこんな男を連れてきたのだね!(プンプン)」
近藤:「桂さん!!!」
坂本:「…こん人の言う事がいちいち的を得てるから、桂さん、悔しくなったがじゃろ?」
桂:「…その羽織、忠臣蔵のつもりかね?よしておきたまえ!…しかもその色!!」
芹沢:「………!!!」…桂さん…。
最後は余計だろ、最後は(;´Д`)。
江戸での別れの時や京都での再会の時は、丸くなったもんだとしみじみしたのに。
気に食わない事があると、途端に意地悪い言葉責めモードに切り替わっちゃうんすね。まだ小鳥のようにプルプルプルプル震えてる鴨さん。
坂本さんは「すぐ戻るきに」と、桂さんの所へ。
今回も口喧嘩の仲裁に入ったりと、坂本さんは美味しい役回りです。
そして、会津藩の広沢さんを囲んでの宴会。
深雪太夫に酒を注がれ、ご機嫌の広沢さん。
それを見て鴨さんも太夫に酒を注がせようとしますが、太夫は完全無視。いじけ具合に拍車がかかる鴨さん。
近藤さんを呼び寄せ、酌をさせます。
しかし、何と近藤さんのお顔に酒をひっかける始末。
それでも近藤さんは何一つ言わず、もう一度お酌をしてあげます。
二杯目も近藤さんの顔にぶっかけ、近藤さんの仲間達は臨戦態勢。…これ、斎藤さんがいたらさ、鴨さんに飛び掛ってたよな…。
近藤さんを目にも止まらぬ速さでどかせて、自分が酒をひっかぶったかもしれない。
いやいや、お留守番組でよかったよかった(´ー`)。鴨さんの悪態にも怒らない近藤さん。
度量の大きさというか、「これくらい耐えられますよ」というか。
鴨さんのイライラは最高潮に達するわけです。鴨さん大暴れの様相を呈してきましたが、芹沢さんの仲間達は一向に動かず。
痺れを切らしたように土方が「何とかしろ」と新見さんに目線を送ると、受け流されてしまいました。深雪太夫が鴨さんを窘めたら、イライラ鴨さんは太夫を振り払って倒してしまいました。
これには近藤さんも怒り、キツイ目で鴨さんを睨み付けます。主役のはずの広沢さん、このまま場に居続けるのに耐え切れなくなり、退席を願い出ます。
近藤さんと土方さんは大いに焦り、何とか留まらせようと躍起に。
会津藩に見限られたら、浪士組の明日はないです。
そこで機転を利かせたのは、土方さんではなく近藤さん。近藤:「おい歳!歌え!」
土方:「…俺があ!?」
近藤:「いーから歌え!!」渋る土方さんでしたが、近藤さんの言う事には逆らえず、いきなり歌い始めました(笑)。
「歳」って呼ぶ近藤さんは久しぶり…かもしれない。唄は「伊勢多摩音頭」。
多摩地方に伝わる音頭のようです。ハァ〜〜♪御祈祷じゃ御祈祷じゃ♪土方さんの朗々とした歌声に合わせて踊り始める近藤さん。
源さんも加わり、永倉さんも立ち上がりました。永倉:「よし!私も踊る!」
原田:「知ってんの?」
永倉:「知らん!」ゴーイングマイウェイっぷりが愛しいですよ、永倉さん(*´Д`)。
近藤さん、源さん、原田さん、永倉さん、島田が輪になって踊り出しました。
ああ、つくづくいなくてよかったよ、はじめちゃん(笑)。深雪太夫は楽しそうに手拍子。
芹沢さんの仲間達も何だか楽しそうです。
広沢さんも笑顔になり、とっても楽しそうです。いい人だ…。ただ一人。
雛鳥のようにプルプルプルプルし、涙目になっている鴨さん…。
場が盛り上がれば盛り上がるほど、鴨さんのでっかい身体は萎縮していきます。
一人で部屋を飛び出してしまいました。それを横目で見つめる近藤さん。
鴨さんは庭先に一人でポツネンと。
追いかけてきた近藤さんの姿を見、鴨さんは慌てて目元を拭いました。
ああ…泣いちゃってる…、「鴨を酔わすな」じゃなくて、「鴨を泣かすな」だよー。芹沢:「俺はな、近藤さんよ。 昔から人とつるむのが苦手だった 。
誰かと何かを始めても結局は喧嘩別れだ 。俺は誰も信じねえし、誰からも信じてもらえねえ 。
俺はこういう男なんだよ。馬鹿で気が短くて無様で情けねえ、とんでもねえクズ野郎だ 」
だから、近藤さんを見ると虫唾が走るんだ、と。
真っ直ぐで、真っ正直で、自分とは正反対。人を疑う事を知らない。自分だって「そう」なりたかった。
昔は理想高く、誇りを持って生きていたはずなのに、望みとは裏腹に我が身は堕ちていく一方。
己の力だけでは、もうどうする事もできない所まで堕ちてしまった。ここで、水戸天狗党の件を思い出しました。
「誰かと何かを始めても」って、天狗党を旗揚げした時の事を言ってるのかも。
けれど結局は喧嘩別れになり、その人達を斬り殺してしまい、結果投獄。
恩赦があってまたお天道様の下を歩けるようになったけど、暗い過去をずーっと引き摺っていて。うーんと。
相手を信じないと、相手も自分を信じてはくれないよ。
近藤さんみたく、真っ直ぐにぶつかっていかなきゃ。近藤:「芹沢さん!私は好きですよ、この羽織」
近藤さんの言葉…気持ちに、芹沢の背中が揺れます。
けれども振り返る事はなく、芹沢さんはその場から去っていきました。何て哀愁のある背中なんだ。
近藤さんがもうちっと踏み込んでやれば、鴨さんは心をもう少し開けたかもしれない。
…ううん、これが精一杯なんだろうなあ。切ないなあ。斎藤さんも境遇は似てる。
人を斬ってしまい、近藤さんや芹沢さんの助けで逃げ延びはできたけど、
行き着いた先の京でも、身を寄せた知り合いの道場主と喧嘩して、また飛び出して。
その後はヤクザの助っ人っつう、足を洗うに洗えない裏の世界で生き続けた。それでも、近藤さんに再会して、今まさに「やり直そう」としてて。
こないだの「不殺」の件といい、暗闇から抜け出そうと必死にもがいてる。若いからなあ。
はじめちゃんは一見頑固に屈折してそうだけど、意外に根は素直。やればできるこなんです。
芹沢さんは…一からやり直すには自分は年を取り過ぎてしまったと思い込んで、とうに諦めているんだろか。でも、諦めてたら、近藤さん達と共に京には残ってなかったはず。
清河の浪士組募集にも参加してなかったはず。
ソンノージョーイだとか、将軍警護だとかの所謂時事には、関わろうとはしなかったんじゃないか。
桂さんに弱点を突かれ、精神的に叩きのめされた芹沢さん。
お梅さんも自ら前の旦那の所に出向いて、そこでぞんざいに追い払われちゃってたね。
どっちも自分からけしかけておいて、結局痛い目に遭ってしまいました。お梅:「男なんてみんなうちの敵や!」
似た者同士。
だから惹かれ合うのか。しかし、お梅さんはまだ今の時点では鴨さんにぞっこんという訳ではなさそう。
むしろ、鴨さんの方がぞっこんなんだろうな(山南風に)。自分を酷い目に遭わせた「男」。
男に復讐できるなら、男なら誰でもいい感じがします。
これから変わっていくのか、それともどんどん鴨さんを破滅の道へ誘うのか。はー、女はんは怖いどすなあ。