親子関係の行動術


「子供を理解しようとするときは、タイプ別性格判断どころではない」というのはよく耳にする。だが、タイプ別性格判断は家族、とりわけ親子関係の際限ないジレンマにも応用できる。
(内向)型の親は、(外向)型の子どものことを電話魔、パーティー好き、グループで勉強し、よその家によく泊まると感じる。
逆に、型の親は型の子どもに社交性を身につけさせようとしても思うようにいかない。子どもは外で友達と遊ぶより、家で本を読んでいるほうがいいという。
型の親が型の子どもを、「人に頼りすぎるので自立心がつかない」といって心配することもある。
こういう目に見えるジレンマは、誰でもいくつかは思いあたるだろう。
総じて、型の親は、子どもだけに限らず、型の家族に干渉しないではいられないようだ。みんな一緒が好きなのだ。
「みんなでテレビを見ているから、あなたもいらっしゃい」。
相手の気持ちを考えずに、自分のやりたいことを押しつけるのが問題である。
型の干渉の最たるものが、「部屋でひとりで何しているの。こっちにきて、みんなと遊びなさい」というものだ。型の子どもは「ちょっといいかしら」とか、「あらおもしろそうね、何しているの」といった調子で邪魔されるのを好まない。
さらに、型の親は聞き上手ではない。また、型の親は、型の子どもがやりたくなかったり、まだ心の準備ができていないのに、もっとつきあいや学校の行事に参加しろと勧める。
入学の日は、型の子どもには胸のわくわくする冒険と同じだが、型の子どもにとつては、せいぜいよくて不安におびえ、悪くすると悪夢となる。
型の子どもの不安を取り除く単純だがきわめ有効なテクニツクは、学校がはじまる前日に型の子どもを連れて学校のなかをひと回りして、子どもが自分のペースで順応できるようにすることだといわれている。
自分のぺ−ス、これが型の子どもを理解する力ギである。
人にぺ−スを指図されると、問題が生じる。 逆に、型の親に型の子どもの場合、親は子どもがしょっちゅう人から認められたがるのを理解できない。
型の子どもは、キッチンを片づけたことやら、服が似合うことやら、何度ほめられても足りなくて、親の感想を聞きたがる。
型の親は、子どもがいるのに気づかなかったり、子どものとりとめない話を聞き流しがちだ。
そのため型の子どもは、ちゃんと認めてもらえるまでは、どんどん声が大きくなったり、何度も同じことを話したり、ただ「目の前をうろちょろ」したりする それがかえって親をいらいらさせることが多い。
「お願いだから、いちいち聞かないで、自分の頭を使いなさい」というのが型の親の口癖で、型の子どもが甘えているのに気づかない。
型の親に型の子どもの場合は、いちばん実際的な解決方法は、干渉したりされたりするときのお互いの違いを理解し、折りあいをつけることだ。
たとえば、よくあることだが、型の子どもは帰ってきたとき「ただいま」といわない。これは親をいらいらさせる。
こういうことが案外、ぎくしゃくした親子関係のもとになっているものだ。そんなとき親はこういえばいい。
「家に帰ってきたとき、お母さんに挨拶くらいしなさい。そうすれば、それ以上はほうっといてあげるから。それに、お母さんが帰ってきて、ただいまといったら、返事くらいしてちょうだい」。
こんなごく簡単な約束をちゃんと果たすだけで、子どもは干渉されていると感じないですむし、親のほうも敬遠されていると感じないですむだろう。
型の親は、型の子どもをうるさく感じる一方で、子どもが頭をなでてもらったり認められたりされたがっていても、あまりこたえてやらない。
そんな場合も、お互いの違いを理解して、折りあいをつけるのがいちばんである。子どもは無用なお喋りをなるべくしないようにし、親はもう少し子どもを認めてやり、見えすいていても、もう少しほめてやるように努めるとよい。