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ロレックスが絵文字を用いた時計をつくるとは夢にも思わなかった。

ロレックスは隠れた変わり者を受け入れてくれるようなので、今後にとても期待している。

12時位置で弧を描く小窓のなかにある曜日の代わりに、ブランドは7つのインスピレーションからなる言葉を記したディスクを配置した。“Happy”、“Eternity”、“Gratitude”、“Peace”、“Faith”、“Love”、“Hope”の7ワードである。そして3時位置の日付窓は、本来であれば歴史的な日付を表示することで知られている(まあこれは空は青く、太陽は熱いといっているようなものだが、ちゃんとした理由がある)のだが、現在は31種類もある絵文字のうちのひとつが表示されている。絵文字はキスマーク、四つ葉のクローバー、エイトボール、ハート、ピースサイン、ロレックス時計コピークラウンなどで構成している(公式の絵文字にするよう、時計コミュニティを代表してApple社に嘆願しようではないか)。

文字盤のベースカラーにターコイズを採用したホワイトゴールドとイエローゴールドモデル、オレンジのベースカラーを採用したエバーローズゴールドモデルの2種類(計3型)が用意された。どちらの文字盤にも、絵文字と同じくらいの驚きとランダム性を感じさせる、マルチカラーを使ったジグソーパズルのモチーフが描かれている。さらにレインボーバゲットカットのサファイアインデックスも10個セットされ、ジグソーパズルにうまくマッチしている。もちろんすべて、プレジデントブレスレットを装着している。

オイスター パーペチュアル  デイデイト 36の曜日窓
もしこれを読んでいるあなたが私のような人であれば、この時計についてまともな意見を述べる前に、受けた衝撃が収まるのを待つ必要があるかもしれない。だから一旦ストーンの文字盤について話をして、ひと呼吸おいて、気分を入れ替えてから頭のなかを整理しようではないか。

今日は幸運にも、YGのカーネリアン文字盤を試着することができた。そして(頭のなかで)マライカ バージョン 2.0がいい暮らしをしていてこの時計を持っている姿を想像していた。

サン・ポール・ド・ヴァンスにあるホテル、ラ・コロンブ・ドール(Colombe D'or)のプールサイドでシャンパンを飲みながら、ジャスミンやイチジクの木の香りを楽しむような、そんな暖かく穏やかな夜に身につけたい。それかイビサ島からフォルメンテラ島へ行くためにチャーターしたヨットの上で、この時計を巻くというアイデアもいいかもしれない。ボートから優雅にダイブしたあと、文字盤とダイヤモンドが太陽の光を受け、アクアマリンの水面下でオレンジ色に輝くのだろう。またTシャツにジーンズというスタイルに、カーネリアン文字盤のデイデイトを身につけて、ニューヨークの街を優雅に散策するのもいいかもしれない。

オイスター パーペチュアル  デイデイト 36、カーネリアンダイヤルのリストショット
時計はとてもシンプルで、まさにストーン文字盤天国だ。カーネリアンのほか、ターコイズやグリーンアベンチュリンの文字盤を使用した時計もある。

ロレックスは以前にも、デイデイトにカーネリアンダイヤルを採用した例がある。それはオークションに出品されているであろうカーネリアンのヴィンテージモデルを探すために、必死にスクロールしているときに出合ったもので、古いヴィンテージのダイヤルコード表には、“Cornelian Serti”と記載されていた。実際の時計のいい例を見つけることはできなかったが、この色はまさに1970年代を象徴したものだ。

オイスター パーペチュアル  デイデイト 36、カーネリアンダイヤルのイメージカット
正直、ヴィンテージのコーラルデイデイトよりも新しいカーネリアンのデイデイトのほうが私を虜にしてしまうのではないかと思っている。ヴィンテージよりモダンが私の心を掴む。なんてビッグニュースなんだ!

ベゼルにあしらわれたダイヤモンドが、真価を発揮しているのもポイントだ。ストーンを散りばめたダイヤモンドセットのインデックス、ローマ数字のVIとIXもそうだ。

オイスター パーペチュアル  デイデイト 36、カーネリアンダイヤルのベゼル&文字盤アップ
この新しいデイデイトには、特許取得済みのクロナジー脱進機を組み込んだCal.3255を搭載している。ニッケル・リン合金製のこの脱進機は、強い磁場にも耐えうることができる。ムーブメントには、温度変化に対する安定性と高い耐衝撃性を実現した常磁性合金でロレックスが製造した、常磁性ブルー パラクロム・ヒゲゼンマイを採用している。この振動子はロレックスが設計して特許を取得した高性能パラフレックス ショック・アブソーバに取り付けられており、ムーブメントの耐衝撃性がアップ。そしてローターには最適化されたボールベアリングも取り入れている。

よし、深呼吸して。かなり専門的な話になってしまったが、もう絵文字時計に戻ってもいいころではないだろうか。

このモデルは変わり者で狂気じみたものとしかいいようがないが、時計を見たときには大陸横断の時差ボケで現実なのか、頭のなかに現れた時計なのかわからないほどだった。通常、この感覚はリシャール・ミルのようなブランドにしかないもののはずだからだ(HODINKEEを愛読している人ならご存じだろうが、彼らは最近、独自の絵文字ウォッチをリリースしている)。

オイスター パーペチュアル  デイデイト 36のイメージカット
この時計が手首の“Live Laugh Love(生きて、笑って、愛して)”サインになる、なんて悪い冗談を言わないように私は全力を尽くしている。そしてクリスタルをこすって感謝の気持ちを綴っている典型的な郊外のミレニアル世代の母親よりも真実味のある話なのだ。確かに風変わりだが、これはその時代の流れなのである。

ロレックスがこの絵文字が刻印されたデイデイトを発売するのであれば、我々は正式に腕時計の新しい領域に入ったことになるだろう。ベン・クライマーはあるコレクターがこの時計を、ブランドにとって越えてはいけない一線だと冗談めかして言っていた。今後のロレックスのリリースをプレ絵文字、もしくはポスト絵文字として見ていくことにしよう。