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ロレックス、40mmサイズの新型エクスプローラーで名作を再定義

36mm、39mm、36mm……、ときて、今回40mmまでサイズアップした。

ロレックスコピー 代引きが40mm径のエクスプローラーを発売するというニュースが流れたとき、この時計を愛する我々は一瞬にして恐怖に襲われた。これは、36mmサイズがまた消えてしまうということなのだろうか、と?

幸運にも、その答えは“ノー”だ。史上初のことだが、ロレックス エクスプローラーのコレクションには今後、36mmと40mmという2種類のサイズがラインナップされることになる。

とはいえ、ロレックスがエクスプローラーを大型化するのは今回が初めてではない。2010年にロレックスはRef.114270の製造を中止して39mm径のRef.214270を発表し、その後2016年にアップデートを施した(サイズは39mmのまま、わずかにダイヤルに手を加えた)。そして2021年、ロレックスはその時計をRef.124270と置き換えることで36mm径を復活させたのだ。

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廃盤と発表の繰り返しで、エクスプローラーには常時、一度に1モデルしかラインナップされてこなかった。今回のリリースで、それが変わるのだ。

我々は36mmモデルが、ファンにはたまらない名作であることを知っている。40mmのエクスプローラーの初期画像を月曜日にネットで見たとき、私には何がどう変わったのかを明確に理解できなかった。エクスプローラー然としたデザインはとても気に入ったが、正直なところいつものエクスプローラーにしか思えなかったのだ。実機を手に取って見ていたとき、私の隣にいたスタイルエディターのマライカ・クロフォードが36mmのRef.114270をつけてきていたので、幸運にも比較することができた。

40mmが必ずしもラインナップに必要だとは言い切れないが、選択肢があるのはいいことだ。このリリースの背景に、それ以上の理由があるとは私には思えない。大きな時計を好むコレクターも多く存在し、ワンサイズではすべてをカバーできない。それだけのことだ。

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実際、時計を購入するほとんどの人にとって、エベレストに由来するエクスプローラーの歴史に深く精通していなければ、劇的に先細りしたクラスプを持つ36mmの腕時計はハードルが高いものかもしれない。

ともあれ、この時計を初めて手にしたときに気がついたいくつかのディテールを紹介しよう。まず、39mmモデルと比較して、かなり大きく見える。私の目には1mmのサイズアップがかなり強く感じられたのだ。非常に薄いベゼルは文字盤を強調し、そのサイズを際立たせている。私の手首周りは約16cmだが、直径40mmのケースは少し大きすぎるように思った(同僚もそう言っていた)。

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それでも新作の40mmモデルは、従来と同一のムーブメントとSSケース、ブレスレット、そして同じ文字盤レイアウトを備えている。39mmと40mmという大型のエクスプローラー2種を区別するデザインのひとつが、モデル名の位置だ。39mmモデルは6時付近に、新しい40mmモデルは36mmモデル同様に文字盤上部に配置されている。この違いがもしかしたら、あなたにとっては決定的なことかもしれない……、まあ、おそらくそうではないかもしれないが。

率直に言って、このリリースが私に示すのは、好きなものを好きなように作れるロレックスの自由さであり、誰も求めず、考えもしなかったプロダクトを実現できる力だ。同じ会場にあったパズルのデイデイトのようでもあるが、これはその対極にある存在だ。

将来的に私は、この時計とともに長い時間を過ごしたいと思っている。どうか、楽しみにしていてほしい。ひょっとしたら、40mmというサイズが私の手首になじむかもしれないし、私の手首のほうがこの時計になじむかもしれない。

この重要な時計に今回、ブランドは深くメスを入れた。

ル・ロックルで続けてきた、伝統的な時計製造のノウハウを伝えるティソのコレクション、シュマン・デ・トゥレル。

この時計の名は、スイス、ル・ロックルに位置する本社社屋前から伸びる小道に由来する。ティソ シュマン・デ・トゥレルは、ブランドが長年培ってきたクラシックな時計作りを体現するコレクションだ。今回、新たに投入された39mmの小振りなケースを中心とするラインナップは、ダイヤルや針、ケース、ブレスレットのディテールにいたるまで洗練され、上質なエレガンスをまとった。

ティソ シュマン・デ・トゥレル
パテックフィリップ スーパーコピー時代を超えて愛されてきたコレクションに手を加えるのは、難しい。しかし、ティソはその困難にあえて挑んだ。シュマン・デ・トゥレルはブランドにとって、伝統的な時計製造のノウハウを伝える重要なコレクションである。ティソはこの時計をより繊細で洗練されたものにすることを目標に掲げ、2年の歳月をかけながらディテールを精査していった。ティソはスイスのル・ロックルで時計製造を続けてきた由緒あるブランドだ。1853年から続くその歴史は、新生シュマン・デ・トゥレルにおいてはどのように生かされているのだろう。

ティソ ル・ロックル本社
スイスはル・ロックルの地、トゥレル通りに工房を構えるティソ本社。

 2023年に170周年を迎えたティソは、いくつもの“世界初”を実現してきた。1853年にはふたつのタイムゾーンを統合した初の懐中時計を開発しており、1930年に誕生したティソ アンチマグネティークは世界初の耐磁性腕時計として発売された。1971年には時計としては前例のないプラスチックケースを導入し、1999年にはベゼルに触れて操作するティソ T-タッチを発表して電子技術の面でも時計界をリードしてきた。

 一方でより多くの人に時計を届けたいと望むティソは、クラシックカテゴリーも重要な柱であるという考えからシンプルなドレスウォッチを常にラインナップに取り入れてきた。ティソはクラシックウォッチのデザインにおける確かな知見を持っており、バナナ・ウォッチのように数多くのフォロワーを生みだした傑作をアーカイブとして豊富に保有している。デザイナーはそれらに触発されながら、既存のティソ シュマン・デ・トゥレルのディテールに丁寧にメスを入れていった。


1956年製、ティソ シースター。


1930年に発売された、ティソ アンチマグネティーク。

 ティソいわく、今回の新デザインにおいては特定のアーカイブからインスピレーションを得たわけではないという。だが、新生ティソ シュマン・デ・トゥレルを特徴づけるディテールのいくつかは、過去のタイムピースにも見ることができる。例えば、センターに向かってなだらかに盛り上がるボンベダイヤルと植字のバーインデックスの組み合わせは、1950年代ごろのティソ シースターなどでも試みられたものだ。また、ランセット(柳葉)型の針は前述したティソ アンチマグネティークの時代から使われている。これらのダイヤルとインデックス、針の造作、造形は、クラシカルなデザインの時計における定番でもある。単純に過去のモデルを復刻するのではなく、ブランドが長年手がけてきた伝統的な意匠を厳選、組み合わせることで、ティソ シュマン・デ・トゥレルは普遍のクラシカルデザインを確立したのだ。

ティソ シュマン・デ・トゥレル をチェック

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ダイヤル、外装、ムーブメント。細部にこそ宿るティソのこだわり
ティソ シュマン・デ・トゥレル グレー39mm
 ティソ シュマン・デ・トゥレルは、ル・ロックルの中心地にある時計塔から引用したローマンインデックスに象徴される、エレガントな顔立ちを特徴とするコレクションだ。だが、今回新たにバーインデックスモデルが加わったことで、プレーンなサンレイダイヤルと相まってクラシカルさだけでなくコンテンポラリーな雰囲気も獲得した印象である。また、フラットからボンベに改められたダイヤルの曲面に合わせてサンレイを施すことは本来難しいものだが、その仕上がりは実に繊細。光を受けることで、ダイヤルのグレーが色のニュアンスを微妙に変化させる様子も美しい。外装はヘアラインをメインにしている点はこれまでと同じだが、ポリッシュ面が増やされたことでさらなる気品を生み出している。

ティソ シュマン・デ・トゥレル グレー39mm
 新しいティソ シュマン・デ・トゥレルを手に取って傾けて見ると、ダイヤルとサファイアクリスタルガラスの柔らかなふくらみが確認できる。ダイヤルのカーブに合わせて、秒針と分針の先端近く、そして植字のバーインデックスがわずかに曲げられていることにも気がつくだろう。また、ランセット型の時分針は左右がポリッシュとブラストに仕上げ分けられ、まるで峰型の針であるかのような立体感を創出している。デイト窓の切り込みの造形も凝っており、小さなドットインデックスのきらめきも十分だ。ダイヤルを織り成すすべてのディテールに丁寧に手間をかけたティソ シュマン・デ・トゥレルの審美性は、極めて高い。


 今作ではダイヤルや風防だけでなく、ケース自体にも丸みが与えられている。裏蓋の外周を絞り、装着時の横顔を実際よりも薄く見せているのだ。加えて、ケースサイドに施すヘアライン仕上げはスリムに改め、裏蓋側にはポリッシュ面が入り立体感が生まれたことで、さらなる高級感も獲得。ブレスレットが5連であるのはこれまでと同様だが、両サイドには新たに面取りとポリッシュが加えられ、よりいっそうしなやかな装着も実感できる。スリムなリンクは丁寧に組まれており剛性も十分だ。さらに、ムーブメントにも進化が見られた。Cal.POWERMATIC 80.111のヒゲゼンマイを新合金ニヴァクロン™製としたことで、耐磁性能を飛躍的に高めたのだ。1920年にいち早く実現した耐磁時計の伝統は、今回のティソ シュマン・デ・トゥレルにも色濃く受け継がれている。


左が今回の新作シュマン・デ・トゥレル(ブルー、39mm径)、右は旧モデル(ブルー、42mm径)。

 新生ティソ シュマン・デ・トゥレルには、これまでにも見られたクル・ド・パリとローマンインデックスを組み合わせたダイヤルもラインナップされる。しかし新旧を並べて見比べてみると、ボンベダイヤルやドーム型のサファイアクリスタルガラスによってクラシック感が強まった印象だ。ランセット型針の仕上げを左右で変えたのも、上質さが増した要因だろう。ケースサイドの仕上げはヘアライン部分が明らかにスリムになっていることが分かり、ラグの下側部分に生まれたポリッシュ面のきらめきにより表情はいっそう豊かになっている。ブランドのクラシックを担うモデルを、さらに繊細で洗練されたものへ、という目標をティソは見事に叶えてみせた。

 20世紀を代表する巨匠建築家のひとりであるミース・ファン・デル・ローエは、“神は細部に宿る”との金言を残した。ティソの新シュマン・デ・トゥレルは、これをまさに体現している。同モデルを構成するあらゆるディテールに気配りしたことで、美観を各段に高めてみせたのだから。その仕上がりは、他社の同価格帯の時計をはるかに凌駕するほど良質である。また、最長80時間駆動で高耐磁と実用性に優れるCal.POWERMATIC 80.111は、わずかなチューニングでC.O.S.C.が取得可能なレベルの高精度も併せ持つ。これらは、エントリーキャリバーとしては異例の性能である。

 より多くの人々へ時計を届けることを目標に掲げ、クラシックカテゴリーに注力を続けてきたティソ。新生シュマン・デ・トゥレルは、そんなブランドのステートメントを十二分に体現している。

ロンジン スピリットコレクションは、彼らのパイオニア精神を今に受け継ぐ。

ロンジンは、190年を超える歴史のなかで名だたる飛行家や冒険家たちをハイパフォーマンスウォッチでサポートしてきた。ロンジン スピリットコレクションは、彼らのパイオニア精神を今に受け継ぐ。ロンジンが先駆となった機構であるフライバッククロノグラフをよみがえらせ、ブランドのヘリテージを継承する。

「翼よ! あれがパリの灯だ」──1927年5月21日、パリのル・ブルジェ空港に到達したチャールズ・リンドバーグは、世界で初めて大西洋単独無着陸飛行に成功した。出発地であるニューヨーク・ルーズベルト飛行場からの飛行時間は33時間30分。リシャールミル スーパーコピーこれを計時したのは、ロンジンのクロノメーターであった。

1919年に国際航空連盟(FAI)の公式サプライヤーに認定されたロンジンは、航空史にも輝くパイロットウォッチやコックピット計器の数々をアーカイブに持つ。1929年には、アメリカ海軍フィリップ・ヴァン・ホーン・ウィームス大佐が1927年に考案した、秒インデックスを刻んだダイヤル中央の回転ディスクで秒針を0位置に合わせられるセコンドセッティング ウォッチを製作。1931年には世界初の回転ベゼルを考案した。

ウィームス大佐に航法を学んだチャールズ・リンドバーグは、回転ベゼルとダイヤルの目盛りで経度と緯度が計算できる機構を考案。これをロンジンは、1930年に回転ディスク式のセコンドセッティング ウォッチをベースに実現してみせた。今も傑作パイロットウォッチとの誉れ高きアワーアングル ウォッチである。

Photo credit/チャールズ・リンドバーグ:Bettmann/Getty Images クライド・パングボーンとヒュー・ハーンドン:Austrian Archives/Imagno/Getty Images リチャード・バード/Photo by © CORBIS/Corbis via Getty Images

また、1931年に太平洋無着陸横断飛行に世界で初めて成功したクライド・パングボーンとヒュー・ハーンドンの愛機ミス・ビードル号には、ロンジンが彼らのために製作した2本の時針を備えたダブルタイムゾーン付きコックピット クロックが取り付けられていた。これに代表されるように、ロンジンのクロノメーター コックピット クロックは、実に多くの冒険飛行を正確な計時で支えてきた。

航空史におけるパイオニアたちがロンジンを愛用したのは、彼らが求める精度や機能に応えられるだけの優れた技術力を有していたからにほかならない。数々の航空史における偉業を支えた発明を叶えたチャレンジ精神は、現在のロンジンにも受け継がれている。

ロンジンが支えたパイオニアたち

コレクションに息づくロンジンのアーカイブ

ロンジン スピリット Zulu Time

Ref.L3.812.4.63.6 45万3200円(税込)

1925年に誕生した角型ズールータイムの機構と名を今に継承する。その外装はヘアラインをメインとし、エッジにポリッシュを効かせた仕上げが美しい。両方向回転ベゼルは正確に1時間刻みで回せる24ノッチ仕様である。

ロンジン スピリット Zulu Timeの詳細を見る

針と植字インデックスはゴールドカラーとし、ベージュのスーパールミノバを配したレトロな装いである。GMT針は根元をダイヤルと同色に染め、4本の針による煩雑さを解消。

裏蓋はビス留めながら、10気圧防水を確保。その内に潜むCal.L844.4は、クロノメーター取得の高精度と72時間駆動を誇る。ヒゲゼンマイはシリコン製で、耐磁性にも優れる。

前述したセコンドセッティング ウォッチとアワーアングル ウォッチは、それぞれ考案者の名を冠し、現在のヘリテージコレクションにもラインナップされているが、今年2月には、風防内のアワーマーカーを回転ベゼルで操作する1935年誕生のマジェテックをロンジン パイロット マジェテックとしてよみがえらせている。

以前、ロンジンにインタビューした際、同ブランドは「ロンジンのアーカイブは、宝の山だ」と語った。それは単に復刻するに値するモデルが数多いというだけに留まらず、新たなコレクションを創出する際のインスピレーションの源が豊富であることも意味する。

2022年に誕生したロンジン スピリットは、航空史のパイオニアたちを支えた歴代パイロットウォッチからエッセンスを抽出し、生まれたコレクションだ。見やすいダイヤル、針やアラビア数字の植字インデックスのデザインなど、パイロットウォッチのヘリテージを受け継ぐ。
また「ロンジンは、クロノグラフやハイビートなどさまざまなメカニズムでもパイオニアでした。そうしたブランドを象徴する機構を、インハウスムーブメントでラインナップしていきたい」とも同ブランドは語っていた。その言葉は、昨年のロンジン スピリット Zulu Timeで具現化された。

ズールー(ZULU)とは、協定世界時(UTC)やグリニッジ標準時(GMT)と同じ意味の航空用語である。すなわちズールータイムとは、コレクション初のGMTウォッチだ。1908年にオスマン帝国向けに世界初のデュアルタイムゾーン懐中時計を製作したロンジンは、GMT機構のパイオニアであったのだ。この機構は、1925年に角型腕時計に受け継がれ、そのモデル名こそがズールータイムだった。また同じGMT機構は、前述したダブルタイムゾーン付きコックピット クロックをはじめ、多くの航空計器にも転用されてきた。

ブランドの重要なヘリテージであるメカニズムを、ロンジンは現代に再現してみせたのである。リューズで前後に操作できる主時針にカレンダーも連動し、24時間GMT針はホームタイムを示す設計。さらにセラミック製インレイに24時間インデックスを刻んだベゼルは両方向回転式で、時差分だけ回せば第3のタイムゾーンを知ることができる。実に使い勝手がいいGMTウォッチは世界的に大ヒットとなり、コレクションを代表するモデルとなった。


ロンジン スピリット 37mm

Ref.L3.410.4.63.6 35万7500円(税込)

サンレイ仕上げのシャンパンカラーダイヤルは37mmモデル専用。秒針も既存にあった先端の赤染をやめ、よりエレガントな印象を高めた。秒針のダイヤモンドシェイプが、文字盤上の小さな菱形を正確に指し示す。

ロンジン スピリット 37mmの詳細を見る

写真左は2020年からある既存の40mm、SSモデル。ダイヤルをコーポレートカラーのブルーに染める。右は昨年追加されたチタンケース仕様で、デイト表示もなく、よりレトロな雰囲気である。

ロンジン スピリット Zulu Timeに限らず、ロンジン スピリットはクロノメーター取得と10気圧の高防水、シリコン製ヒゲゼンマイによる高耐磁を共通仕様としている。デイリーウォッチとして極めて優秀なスペックを兼ね備えるコレクションは、ベーシックな3針モデルの造作にも、細かな気配りが行き届いている。

過去のパイロットウォッチに倣い、時針と分針は長さが大きく変えられていて優れた視認性をもたらす。それぞれの針の長さは、時針はアラビア数字の植字インデックスの、分針はフランジに刻んだバーインデックスの、内側をちょうど指すように整えられているのが、見ていて実に心地いい。秒針の先端に取り付けられたダイヤモンドシェイプのマーカーは、植字インデックスの外側に置いた同じダイヤモンドシェイプの目盛りとピッタリと重なり合う形状になっているのも見事だ。

さらに昨年投入された小振りな37mmケースでは、デイト窓が既存の3時位置から6時位置に移され、シンメトリーな美が創出された。その窓も単に四角く打ち抜くだけに留まらず、斜めに面取りされている。ダイヤルには、サンレイ加工を施して光の具合で色味が変化するニュアンスを付けた。これらの上品な仕立ては、サイズ感と相まって男女でシェアできるジェンダーレスウォッチとして実に優秀である。

また既存の40mmケースには、昨年チタンケースモデルも登場した。ファブリックストラップと組み合わされたことでも、一層軽快なつけ心地がもたらされた。先人のパイオニア精神を受け継ぐロンジン スピリットコレクションは、機構と大きさ、素材でバリエーションを増やし、新たなファンを開拓する。

ロンジンを象徴するフライバッククロノグラフがついに復活

ロンジン スピリット フライバック

Ref.L3.821.4.53.2 64万1300円(税込)

ロンジンに久しぶりに帰還したフライバッククロノグラフは、ブラックセラミック製両方向回転ベゼルにより、勇壮なたたずまいを呈する。時・分とアラビア数字のデザインは、1935年に生まれた13ZNにも見られるものである。

ロンジン スピリット フライバックの詳細を見る

コレクション初のシースルーバックからはCal.791.4の雄姿を見ることができる。コラムホイールとネジはPVD仕上げではなく、本物のブルースティール製。ローターのグローブマークには華やかにゴールドカラーをあしらう。

マットブラックのダイヤルに、ゴールドカラーがあしらわれたインダイヤルのメタルリングやクロノグラフ秒針が華やかに煌めく。フランジのギリギリまで伸ばしたクロノグラフ秒針の造作は、既存のクロノグラフと同じだ。

そんなロンジン スピリット コレクションに今年、ブランドを象徴するヘリテージな機構が帰ってきた。1925年に最初の搭載モデルの記録が残り、1936年には特許を取得したフライバッククロノグラフである。当時使われたCal.13ZNは、今もヴィンテージウォッチの愛好家が探し求める名機として名高い。またロンジンは、クロノグラフの防水化にも取り組み、プッシュボタンを押している時にも水が侵入しない構造を考案し、1938年に特許を取得している。

クロノグラフを止めることなくリセットでき、新たな計時が始まるフライバック機構は、飛行ステージのタイミングが連続的に計れるため、パイロットには実に有益なメカニズムだ。高い防水性は、雨天でも飛ぶ飛行士のためには重要な機構である。これらが備わるロンジンのクロノグラフは、世界で初めて南極上空を飛行したリチャード・バードをはじめ、多くのパイロットがこぞって愛用していた。


1937年に誕生した最初の防水時計クロノグラフが掲載されたロンジンの広告。描かれているのは、Ref.4720である。防水プッシュボタンの独特の形状はキノコ型と称される。

新作のロンジン スピリット フライバックは、このフライバック機構と優れた防水性というヘリテージを受け継ぐモデルである。搭載するCal.L791.4は、コレクションのスタートアップ時からあるロンジン スピリット クロノグラフで使われるコラムホイール式のCal.L688.4がベース。クロノメーター認定の高精度とシリコン製ヒゲゼンマイによる耐磁性を継承する。コレクションとして初めてシースルーバック化された裏蓋から見えるCal.L791.4は、コラムホイールの右上にフライバック機構用のハンマーが確認できる。コラムホイールとすべてのネジはブルースティール製だ。既存モデルが裏蓋に刻むグローブマークとブランドロゴである両翼の砂時計をリデザインしてローターに掲げるなど、裏蓋から見せるにふさわしい審美性も与えられている。

セラミック製の両方向回転ベゼルは、30秒ピッチ仕様。レーザーで彫った目盛りに入れるスーパールミノバは5分単位に留め、スッキリと整理しているのが、好印象である。同時に1分単位の目盛りも彫りが深く、視認性は十分に確保されている。

2カウンターのブラックダイヤルは、ロンジン最初の防水性クロノグラフであるRef.4270に似ている。植字の5つ星の上に印字されたFLYBACKの文字が、誇らしげである。これまたデイト表示が外されているのも、多くの時計愛好家に歓迎されるディテールに違いない。マットなブラックダイヤルに、ポリッシュ仕上げを施したゴールドカラーの時・分針とクロノグラフ秒針がクッキリと浮き立つ。インダイヤルにはゴールドのメタルリングを取り付け、内側を同心円状のスネイル装飾を施す。さらに針をブラッシュ仕上げとすることで、視覚的に明確に切り分けている配慮の細かさだ。クロノグラフ秒針の先端は、秒インデックスの外側を取り囲む円上をキッチリと指すよう長さが整えられている。ダイヤルと秒針先端のダイヤモンドシェイプが、きれいに重なる造作は、3針モデルと同じ。ロンジンは、久しぶりの登場となるフライバッククロノグラフのディテールを実に丁寧に作り込んだ。結果、元来はミリタリーなツールウォッチであったパイロットクロノグラフにもかかわらず、本機は上品な雰囲気をまとうに至った。近年、質感を格段に向上させてきたロンジンの外装技術が、ロンジン スプリット フライバックにおいても存分に発揮されている。

伝統的な時計製造を守るロレックスがまったく予想外の動きを見せた、

毎年やってくるこの時期。春の訪れとともに、桜の花の香りに誘われるように、時計コレクターや業界関係者が冬眠から目覚める。そして展示会のシーズンに向けて、習慣的に互いに問いかける質問の準備をし始める。

この質問には、「いつもとやっていることが一緒だ(笑)」といった風にドライに答える。というのもロレックスのデザインプロセスの反復的性質についての陳腐なコメントであり、2021年に発表したパームモチーフのデイトジャストのような最近の数々の革新的なリリースを、都合よく無視したものである。2018年のレインボーデイトナとかもそうだ。あるいは、2007年のグリーンクリスタルのミルガウスは? それか1970年代のステラデイデイト? ロレックススーパーコピー 激安水深1万1000mまで潜れるダイバーズウォッチ? はたまた隕石からつくられた文字盤を持つGMTとか?

そう、ロレックスには保守的な一面もある。これは戦略を間違えて失うものが大きい80億ドル(日本円で約1兆614億1600万円)規模の企業である以上、当然といえば当然である。しかしその先行している保守的な主義は、絶え間ない革新性と並行して進んでいる。ロレックスの時計は、驚異的な技術的達成と大胆な美学を特徴とすることが少なくない。ブランドはこのどちらか一方だけであると主張することは、ストーリーの半分を意図的に無視するということである。

ロレックス オイスターパーペチュアルの“セレブレーションダイヤル”のリストショット
実はロレックスについてどう感じるかは、エンドユーザーの声に頑なに耳を傾けないロレックスという会社についてというよりも、あなたについてを物語っているというのが真実だ。これはYelp(海外の大手口コミサイト)以後の時代では珍しいことであり、ほとんどの人が意見を言う権限を与えられ、それが企業の行動に有意義な変化をもたらすと期待しているのだ。ロレックスのプロダクトデザイン、販売戦略、価格設定について、コレクターは実にさまざまな思いを抱いている。しかし、かつてジョン・アップダイク(John Updike)がテッド・ウィリアムズ(Ted Williams)について書いたように、“神々は手紙に答えない”のである。

我々はこのような環境のなかで、31mm、36mm、41mmの3つのサイズが揃い、ケースとブレスレットに光沢のあるステンレススティールを採用した時刻表示のみの腕時計、オイスター パーペチュアルの新作を迎えた。これはロレックスが2020年にパステルピンク、ハンターグリーン、コーラルレッド、マリーゴールドイエロー、ターコイズブルーからなる、キャンディカラーのOPコレクションを投下した際に発表したデザインテーマを継承したものだ。このシリーズは驚異的な人気を博し、オメガやタグ・ホイヤーといった競合他社が相次いで、独自のバリエーションモデルを市場に投入するほどの影響力を与えた。あるいは単なる偶然だったのかもしれないが。ただパテック フィリップが、カラトラバに色を塗って参入してきたとなると、やはり気になってくる。

ロレックス オイスターパーペチュアルの“セレブレーションダイヤル”の平置きイメージ
では皆が追随してきた今、ロレックスはどうするのだろうか? それは51個からなる円形のマスに、5つのオリジナルカラーを集約させた“セレブレーションダイヤル”と回答した。サイケデリックなバブルバスに似た演出も見受けられる。もしくはガラス瓶に入った小さなジョーブレーカー(海外にある色とりどりなキャンディ)とか。見た目はマクドナルドにあるボールプールに例えることもできそう。挙げた例えに共通しているのは、いずれも楽しいということだ。そして、この70万円ほどするおもちゃを幸運にも手首に巻けることができたなら、その楽しみは目まいがするように、子供みたいに楽しめるに違いない。それをリリースの数時間後に巻いてみたが、ロレックスの素敵な女性にもぎ取られそうになるまで、狂ったようにニヤニヤと笑っていた。

写真で見る限り、このセレブレーションウォッチは色や柄が散りばめられていて、どんな服にも合わせにくそうな印象がある。実際には、たまたまネイビーのピンストライプのスーツにバーントオレンジのタートルネックと合わせて着ていたのだが、みんなに素敵だねと言われた。まあ明らかにノーと答えない男をなだめるために言ったのかもしれない。いずれにせよ、ジーンズでもオールブラックでもオールホワイトでも、問題ないだろう。もしくは何でもいい。考えすぎないように。

ロレックス オイスターパーペチュアルの“セレブレーションダイヤル”、31mm、36mm、41mmの3サイズ比較
セレブレーションは、はっきり言って、デイリーユースには向かないモデルだ。明らかに非現実的なのだ。しかし高級機械式腕時計のように完全に自由に買い物するものは、実用性はほとんど必要ないと私は主張したい。こういうのは欲しいから買うのである。最近、木箱に入った虹色の柄のラギオールナイフを持ち帰ったのも同じ理由だ。すでに持っていた、つまらない黒が十分使えていたのにだ。美しさというのは、我々に非合理的な行動を取らせる。昔からそうだった。

さて、この時計のサイズについて、少し触れておこう。コレクターのあいだでは36mmが最も理想とするサイズなのか、それか時計に関する記事を書くことを生業とするエセ評論家たちが好むサイズなのか、はたまた本物の男性はジムに籠って前腕を太くするために鍛えていて40mm以上のサイズを着用しているのかといった議論が盛んに繰り広げられる。しかし議論するほどバカげたことは思いつかないが、私は36のほうが好きで、少なくとも41をつける前に31を巻いてみることを検討するだろう、と言うだけで十分だろう。

ロレックス オイスターパーペチュアルの“セレブレーションダイヤル”のリストショット

スペックの話をするついでに、ふたつの大きいモデルのムーブメントにはCal.3230が、ちいさなモデルにはCal.2232が、なかに納められていることについても、話しておく必要がありそうだ。ただこの時点で、間違いなくわかるかと思うが、このような時計のムーブメントは私が最も気にしていることである。もし私がセレブレーションダイヤルを所有していたら、約70時間のパワーリザーブと高性能ショックアブソーバを搭載していることを評価すると思う。つまり、週末のレイブ(ダンスパーティ)にこの時計を身につけて行っても、盛り上がっている最中にリューズを巻いたり、歯車にぶつけたりする心配をしなくていいのである。だが何より、大部分は見た目が好きなのだ。

その見た目も好きだし、それが表しているのも好きだ。ロレックスができること、すべきこと、何をするのかわかっているつもりでいる人たち(賛成派も反対派も同じ)に対して、パイを投げつけるような存在になっているのがいい。これは正真正銘のサプライズだ。時計の世界にはこのようなアイテムがもっと必要だと思うし、さらにいえばほかの世界にも必要だ。だってバランスを崩すのは爽快だと思わないか? 生きていることを実感することは? 朝、ベッドから出る理由のひとつは、その日何が起こるかわからないからではないだろうか? 人生は完璧に予測できると思った矢先に、フロリダ・アトランティックがベスト4に進出し、ロレックスはパーティシーンにあるヘリウム風船のすぐ隣で売られているような腕時計を生み出したのだ。

グランドセイコー 最新のスプリングドライブダイバーで潮流に乗ろう。

グランドセイコーの最新ダイバーズウォッチ、SLGA023 エボリューション9 5Days ダイバー“ウシオ”。

グランドセイコーが手がける高い技術力と美しさを兼ね備えたダイバーズウォッチ、SLGA015 “黒潮”(海外ではブラックストリームの愛称で知られる)から1年、同ブランドはWatches & Wonders 2023で、次世代の新型ダイバーズウォッチ、SLGA023 “ウシオ(Ushio)”を発表した。新作はブルーベゼルのインサートと、グランドセイコーならではのゴージャスなブルーダイヤルを備えている。日本語で“潮”を意味するこの時計は、グランドセイコー エボリューション9コレクションのスーパーコピー時計最新ダイバーズだ。

グランドセイコー エボリューション9 コレクション スプリングドライブ 5Daysの横置きイメージ
そしてあらゆる観点から見ても、SLGA023は完璧な逸品であることがわかる。ケースとブレスレットにグランドセイコーが誇る高輝度のブライトチタンを採用しており、サイズは直径43.8mm、厚さ13.8mm、ラグからラグまでは51.5mmだ。SLGA023は、グランドセイコーの最高峰チタン製ダイバーズウォッチの新色で、そしてこの新色には独自の工夫が施されている。スペック面でも、特にムーブメントに関してはその存在感を存分に発揮しているのだ。

軽量かつ美しい仕上げのチタンケースのなかには、SLGA015で初めて(リミテッドではないダイバーズウォッチに)採用された、グランドセイコーのスプリングドライブムーブメント、Cal.9RA5が納められている。9RA5は約5日間のパワーリザーブと月差±10秒の精度を実現している。スポーツウォッチ用スプリングドライブムーブメントの最先端を行くものであり、最近グランドセイコーによって薄型化、高精度化が図られたものでもある。

グランドセイコー エボリューション9 コレクション スプリングドライブ 5Daysのダイヤルアップ
そしてメインイベントとなるのは、SLGA023の特徴である青い潮をイメージした“ウシオ”ダイヤルだ。SLGA015のブラックストリームダイヤルのテクスチャーよりも明るく見えるダイヤルは、水面のような効果が得られている。夜光塗料と3時位置の日付、そしてネイビーブルーのセラミック製ベゼルを備えた“ウシオ”は、今年の7月(海外では8月から)に発売される予定で、価格はSLGA015と同じ151万8000円(税込)だ。

我々の考え
もしあなたが、ダイバーズウォッチに近代的なつくりと技術、そしてほんの少しの遊び心を融合させた時計を求めているなら、この新しくてとても青いSLGA023をきっと気に入ることだろう。文字盤に描かれた水の模様はとても美しく、グランドセイコーにしか作れない、そんなパッケージだと感じている。

グランドセイコー エボリューション9 コレクション スプリングドライブ 5Daysのリューズ
グランドセイコー エボリューション9 コレクション スプリングドライブ 5Daysのダイヤル
グランドセイコー エボリューション9 コレクション スプリングドライブ 5Daysのリストショット
サイズ感に関しては、僕がダイバーズウォッチに求める大きさよりもデカいとは思うのだが、チタンでできているため軽量で、さらに人間工学に基づいた設計となっているため腕の上でのバランスもいい。ローガンはSLGA015のサイズ感にもかかわらず、その装着感のよさについてSecond Opinionsの記事を書いているため、より深く楽しみたい方はぜひ読んでみて欲しい。

SLGA023はチタンというだけではなく、文字盤の造形や超高精度キャリバーのスプリングドライブを搭載しているなど、ロレックス サブマリーナーよりも高い価格帯のプレミアムチタンダイビングウォッチとして、ニッチな魅力にあふれたモデルとなっている。

美しくてちょっとマニアっぽい、完全にグランドセイコーらしいダイバーズだろう。

グランドセイコー エボリューション9 コレクション スプリングドライブ 5Daysのリストショット
基本情報
ブランド: グランドセイコー(Grand Seiko)
モデル名: エボリューション9 コレクション スプリングドライブ 5Days(Evolution 9 CollectionDiver’s watch with 5-day Spring Drive)
型番: SLGA023

直径: 43.8mm
厚さ: 13.8mm
ラグからラグまで: 51.5mm
ラグ幅: 23mm
ケース素材: ブライトチタン
文字盤: ブルーウシオ(潮)
インデックス: アプライド
夜光: あり、インデックスと針
防水性能: 200m潜水用防水
ストラップ/ブレスレット: ブライトチタンブレスレット、ワンプッシュダイバーアジャスタークラスプ

ムーブメント情報
キャリバー: 9RA5
機能: 時・分表示、センターセコンド、日付表示、パワーリザーブインジケーター
パワーリザーブ: 約120時間
巻き上げ方式: スプリングドライブ自動巻き
石数: 38
追加情報: 平均月差±10秒(日差±0.5秒相当)

価格 & 発売時期
価格: 151万8000円(税込)

ロレックスが身につけられるチタンウォッチを発表。

ほかの年であれば、チタン製のヨットマスター 42がロレックスのショーの話題をかっさらっていたことだろう。ただ今年はそんなYMが霞んでしまうほど、このブランドにはクレイジーなリリースが多かった。それでも重要なのは、その理由だ。

1年前、チタン製ロレックスコピー優良サイトという発想は、単なる夢物語に過ぎなかった。このプロトタイプが、イギリスの競技セーラーであるサー・ベン・エインズリー氏の手首に装着されていたのを確認しているが、ネット上で広く出回っている写真はあまりにも古くなり、この時計が日の目を浴びることはないのではと思う人もいたほどだ。

ベン・エインズリー氏が、チタン製のロレックスをつけているイメージ
チタンの夢を膨らませた1枚の写真。Image by Ineos Britannia Team / C GREGORY

そして今、5カ月足らずのあいだに、RLXチタン(グレード5チタン)をケースに用いたロレックスの時計がふたつ発売された。1本は昨年、防水記録を新たに更新した直径50mmのメガダイバーズウォッチ、ディープシー スペシャルだ。そして今回は残りの1本、ディープシー スペシャルとは異なり普通の人でも着用できるサイズとなったヨットマスター 42を紹介しよう。

ロレックス チタン製ヨットマスター42
それがこれだ。実用的な大きさのチタン製ロレックス第1弾、新型ヨットマスター 42。

これは大変なことだ。しかしシースルーバックを採用したデイトナに、絵文字の入ったデイデイト、金無垢のGMTマスターII、そしてまったく新しいドレスウォッチコレクションと並べると、チタン製のヨットマスターには目立った動きが起きていない。ウィルスドルフ一族がもたらしたこの48時間は、いかに騒乱の時間だったことだろう。

ある意味では、そこまで興奮しないのがふさわしい対応だとも思っている。現時点でベゼルと文字盤にマルチカラーを使った手頃な価格のシチズンから、このあいだの日曜日に発表されたジャン-クロード・ビバーによる50万ドル(日本円で約6580万円)のミニッツリピーター トゥールビヨンまで、ほかの天下の時計メーカーがチタンでできた腕時計を作っているのだから。

ロレックス チタン製ヨットマスター42
それなのに今週開催されたWatches & Wondersの展示会では、新しいチタン製ヨットマスター Ref.226627が、HODINKEE編集部の部屋に渡り始めた途端に、全体の反応はただ驚いて笑うだけだった。この42mmの時計はとても頑丈そうに見えるのに信じられないくらい軽く感じるのだ。チタンを使っているわけだから。しかしそれにしてもだ。この時計が本物であるかどうか、いろいろな意味で信じられなかった。

ロレックス チタン製ヨットマスター42のリストショット
スティール製のサブマリーナーをつけてみたことがある人が(またロレックスに興味のある方ならどなたでも)、42mmのSS製オイスターケース、丸いインデックス、メルセデスの針を見て、その先にある豪華な重厚感を勝手にイメージして脳がどれだけ先入観を持っているかを知るのは、ある意味滑稽な話である。

ロレックス チタン製ヨットマスター42のクラスプ
100gを切るチタン製のヨットマスターは、脳が混乱を起こすほどの軽さだ。

ロレックスの兄弟ブランドであるチューダーから昨年登場したチタン製ペラゴスと、ちょっとだけ新型YMを比較してみよう。ロレックスはこの時計をよりスポーティなオイスターフレックスではなく、ブレスレットにセットするという選択をしたことで、その比較は明らかである。今、両方の時計とともに時間を過ごしているが、私はヨットマスターのほうが好きだ。

今までのヨットマスターではなかなか言えなかったことだが、今回のYMはペラゴスと同様、ツールウォッチであるということが明確だ。しかし仕上がりは雲泥の差で、これはチタンのような控えめな金属にこそふさわしいといえる仕上げだった。

ロレックス チタン製ヨットマスター42のサイドイメージ
ロレックス チタン製ヨットマスター42の裏蓋
グレード5でできたロレックス独自の“RLXチタン”(ペラゴスのグレード2より強度が高い)は、サテン仕上げとポリッシュ仕上げが同じように施せる不思議な特性を持っている。つまり、比較的マットなダークグレーの金属に対して、シャープで艶やかな面取りのコントラストが映えているのだ。この組み合わせは、よりマットで質感のある文字盤との相性もいい。さらにマットなセラミック製ベゼルインサートの上に浮き出た、ブラックの数字の対比も特徴だ。これらの要素がヨットマスターであることを示す大きなポイントである。

ロレックス チタン製ヨットマスター42のベゼルとダイヤルのアップ
ひとつだけ不満を挙げるならば(ロレックスのデザイナーが最善と思われることを何でもすることを知っているため、私は虚空に向かって共有しておこう)、エインズリーのプロトタイプのように日付のないデザインにこだわって欲しかったということだろうか。ほとんどのヨットレースで使用される実用性において日付は本当に意味がない。ブルーウォーターセーリングで地球を1周するのであれば便利かもしれないが、ダイバーズウォッチと同じように、実用的な用途は技術の現実に道を譲るべきものなのだ。そこでさらにデザインを洗練させるべく、日付を完全に外してしまうのはどうだろうか? ついでにクイックアジャストオプションも充実させればもっと最高だ。

ロレックス チタン製ヨットマスター42の横置きイメージ
ロレックス チタン製ヨットマスター42のダイヤルアップ
一般的な愛好家がすぐに小売店で手に入れることはできないため、167万900円(税込)という価格はあまり重要ではない。しかし新しいヨットマスター 42はただリリースされただけではない。チタンのコンセプトの実証を超えるものである。この魅力的な素材を使った今後の実験の可能性を予感させるような、そんな身につけられる逸品であるのだ。

歴史的なミネルバのムーブメントを、モンブランはより堅牢なSS製のパッケージに収めた。

モンブランはライムゴールド(限定18本)とステンレススティール(限定58本)の2種類からなる限定モデル、1858 アンヴェイルド シークレット ミネルバ モノプッシャー クロノグラフを発表した。昨年はちょっと数が少なかったと思った方のために、今年はさらに本数を増やしての再登場である。

Montblanc watch openworked dial
2022年同様に、モンブランは2007年から傘下としている名門マニュファクチュール、ミネルバの165年来の遺産を活用。丹念に仕上げられたミネルバのCal.MB M16.29を、裏表を反転させたうえスケルトンダイヤルの下に露出させる形で配置した。

フランクミュラー スーパーコピーミネルバのアーカイブには数多くのムーブメントが存在するが、MB M16.29は反転させることができる唯一のムーブメントであった(通常、ケースバック側となるほうをダイヤル側に使用)。なお、同ムーブメントを反転させたうえで針を正しい方向に動かすために、21のパーツを追加する必要があった。

Montblanc Manufacture Calibre MB M16.26 movement
モンブランのマニュファクチュールキャリバー、MB M16.26。

今年の主な違いは外装にある。SSをブラックでコーティングしたのちに、モンブラン(山のほうだ)の珪石と、ミネルバが現在も本拠地としているヴィルレ工場の向かいの山であるラ・コンブ・グレードの石灰岩を使用して手作業でブラッシングを施し、ディストレス加工を施したSSケースを採用している。この工程を経ることで、モンブランの時計におけるふたつの故郷を感じさせると同時に、パティーナを際立たせているのだ。そしてミネルバが1927年に初めて使用した象徴的なベゼルにインスパイアされたホワイトゴールドのフルーテッドベゼルが、このモデル全体の頂点に位置している。

モンブラン 1858 アンヴェイルド シークレット ミネルバ モノプッシャー クロノグラフ リミテッド エディション(SS製)のサイズは直径43mmで厚みは14.18mm、防水性能は30mだ。今年は88本限定で、価格は523万8750円(税込、時価)である。

我々の考え
私はヴィンテージミネルバのクロノグラフ、あるいは少なくともそのイメージに近いものを深く愛している。(まだ)所有してこそいないものの、長いあいだ、私のウィッシュリストには存在している。そのため、モンブランが時計業界でしばしば見られるように部品取りのためにミネルバを解体するのではなく、歴史あるブランドに敬意を払いつつ扱ったことを評価したい。このような時計を作ったり、少なくともミネルバのムーブメントを採用したことは、その事実を証明するものだ。

そのムーブメントが文字盤の隙間から見えるのでスケルトンウォッチであるかのような印象を受けるが、実態はもっと独創的なものである。ムーブメントを裏表反転させるのは決して簡単なことではない。だが、当然ながら見た目はとてもクールだ。

まあ結局のところ、新作1858 アンヴェイルド シークレット ミネルバ モノプッシャー クロノグラフ リミテッド エディションは、昨年発売された時計に新しい処理を施したにすぎない。ブラックコーティングされたSSケースに山石を使用してパティーナ加工を施すという処理は少々陳腐ではあるが、最近のブランドがよく採用するパターンである。数十年前の古いクロノグラフをただリメイクするよりは、 少なくともクリエイティブであることは確かだろう。

また、昨年のSS製モデルは限定58本であったが、今年は88本となった。より多くのコレクターが、クールな時計製造の歴史の一部を手にするチャンスを得たことになる。

基本情報
ブランド: モンブラン(Montblanc)
モデル名: 1858 アンヴェイルド シークレット ミネルバ モノプッシャー クロノグラフ リミテッド エ
ディション(Unveiled Secret Minerva Monopusher Chronograph Limited Edition)
型番: 131155

直径: 43mm
厚み: 14.18mm
ケース素材: サテン仕上げとポリッシュ仕上げを施したディストレススチール、サテン仕上げとポリッシュ仕上げを施した18Kホワイトゴールド製固定フルーテッドベゼル
文字盤色: 透かし彫りの文字盤にブラックのサブダイヤルリング
インデックス: ルテニウムコーティングが施されたホワイト夜光のアラビア数字とインデックス、時針、分針
夜光: スーパールミノバ
防水性能: 30m
ストラップ / ブレスレット: ブラックのヌバックアリゲーターレザーストラップ、ブラックコーティングが施されたSS製トリプルフォールディングクラスプ(微調整機構付き)

Montblanc Watch Viewed from the side
ムーブメント情報
キャリバー: MB M16.26
機能: 時・分表示、スモールセコンド、クロノグラフ(30分積算計付き)
直径: 37.5mm
厚み: 7.05mm
パワーリザーブ: 50時間
巻き上げ方式: 手巻き
振動数: 1万8000振動/時
石数: 26
追加情報: ジュネーブストライプを施したロジウムメッキのジャーマンシルバー製ブリッジ、両面にサーキュラーグレイン、エッジは手作業による面取り、両面にゴールドメッキ、両面にダイヤモンドハブ、無反射コーティングを施したドーム型ボックスサファイアクリスタル。反転式ムーブメント、調速機、輪列、ブリッジ、プレート、コラムホイール、水平クラッチ、273のパーツ、ねじ込み式テンプ(14.5mm)、フィリップス外端曲線を描くヒゲゼンマイ

価格 & 発売時期
価格: 523万8750円(税込、時価)

ロレックスが絵文字を用いた時計をつくるとは夢にも思わなかった。

ロレックスは隠れた変わり者を受け入れてくれるようなので、今後にとても期待している。

12時位置で弧を描く小窓のなかにある曜日の代わりに、ブランドは7つのインスピレーションからなる言葉を記したディスクを配置した。“Happy”、“Eternity”、“Gratitude”、“Peace”、“Faith”、“Love”、“Hope”の7ワードである。そして3時位置の日付窓は、本来であれば歴史的な日付を表示することで知られている(まあこれは空は青く、太陽は熱いといっているようなものだが、ちゃんとした理由がある)のだが、現在は31種類もある絵文字のうちのひとつが表示されている。絵文字はキスマーク、四つ葉のクローバー、エイトボール、ハート、ピースサイン、ロレックス時計コピークラウンなどで構成している(公式の絵文字にするよう、時計コミュニティを代表してApple社に嘆願しようではないか)。

文字盤のベースカラーにターコイズを採用したホワイトゴールドとイエローゴールドモデル、オレンジのベースカラーを採用したエバーローズゴールドモデルの2種類(計3型)が用意された。どちらの文字盤にも、絵文字と同じくらいの驚きとランダム性を感じさせる、マルチカラーを使ったジグソーパズルのモチーフが描かれている。さらにレインボーバゲットカットのサファイアインデックスも10個セットされ、ジグソーパズルにうまくマッチしている。もちろんすべて、プレジデントブレスレットを装着している。

オイスター パーペチュアル  デイデイト 36の曜日窓
もしこれを読んでいるあなたが私のような人であれば、この時計についてまともな意見を述べる前に、受けた衝撃が収まるのを待つ必要があるかもしれない。だから一旦ストーンの文字盤について話をして、ひと呼吸おいて、気分を入れ替えてから頭のなかを整理しようではないか。

今日は幸運にも、YGのカーネリアン文字盤を試着することができた。そして(頭のなかで)マライカ バージョン 2.0がいい暮らしをしていてこの時計を持っている姿を想像していた。

サン・ポール・ド・ヴァンスにあるホテル、ラ・コロンブ・ドール(Colombe D'or)のプールサイドでシャンパンを飲みながら、ジャスミンやイチジクの木の香りを楽しむような、そんな暖かく穏やかな夜に身につけたい。それかイビサ島からフォルメンテラ島へ行くためにチャーターしたヨットの上で、この時計を巻くというアイデアもいいかもしれない。ボートから優雅にダイブしたあと、文字盤とダイヤモンドが太陽の光を受け、アクアマリンの水面下でオレンジ色に輝くのだろう。またTシャツにジーンズというスタイルに、カーネリアン文字盤のデイデイトを身につけて、ニューヨークの街を優雅に散策するのもいいかもしれない。

オイスター パーペチュアル  デイデイト 36、カーネリアンダイヤルのリストショット
時計はとてもシンプルで、まさにストーン文字盤天国だ。カーネリアンのほか、ターコイズやグリーンアベンチュリンの文字盤を使用した時計もある。

ロレックスは以前にも、デイデイトにカーネリアンダイヤルを採用した例がある。それはオークションに出品されているであろうカーネリアンのヴィンテージモデルを探すために、必死にスクロールしているときに出合ったもので、古いヴィンテージのダイヤルコード表には、“Cornelian Serti”と記載されていた。実際の時計のいい例を見つけることはできなかったが、この色はまさに1970年代を象徴したものだ。

オイスター パーペチュアル  デイデイト 36、カーネリアンダイヤルのイメージカット
正直、ヴィンテージのコーラルデイデイトよりも新しいカーネリアンのデイデイトのほうが私を虜にしてしまうのではないかと思っている。ヴィンテージよりモダンが私の心を掴む。なんてビッグニュースなんだ!

ベゼルにあしらわれたダイヤモンドが、真価を発揮しているのもポイントだ。ストーンを散りばめたダイヤモンドセットのインデックス、ローマ数字のVIとIXもそうだ。

オイスター パーペチュアル  デイデイト 36、カーネリアンダイヤルのベゼル&文字盤アップ
この新しいデイデイトには、特許取得済みのクロナジー脱進機を組み込んだCal.3255を搭載している。ニッケル・リン合金製のこの脱進機は、強い磁場にも耐えうることができる。ムーブメントには、温度変化に対する安定性と高い耐衝撃性を実現した常磁性合金でロレックスが製造した、常磁性ブルー パラクロム・ヒゲゼンマイを採用している。この振動子はロレックスが設計して特許を取得した高性能パラフレックス ショック・アブソーバに取り付けられており、ムーブメントの耐衝撃性がアップ。そしてローターには最適化されたボールベアリングも取り入れている。

よし、深呼吸して。かなり専門的な話になってしまったが、もう絵文字時計に戻ってもいいころではないだろうか。

このモデルは変わり者で狂気じみたものとしかいいようがないが、時計を見たときには大陸横断の時差ボケで現実なのか、頭のなかに現れた時計なのかわからないほどだった。通常、この感覚はリシャール・ミルのようなブランドにしかないもののはずだからだ(HODINKEEを愛読している人ならご存じだろうが、彼らは最近、独自の絵文字ウォッチをリリースしている)。

オイスター パーペチュアル  デイデイト 36のイメージカット
この時計が手首の“Live Laugh Love(生きて、笑って、愛して)”サインになる、なんて悪い冗談を言わないように私は全力を尽くしている。そしてクリスタルをこすって感謝の気持ちを綴っている典型的な郊外のミレニアル世代の母親よりも真実味のある話なのだ。確かに風変わりだが、これはその時代の流れなのである。

ロレックスがこの絵文字が刻印されたデイデイトを発売するのであれば、我々は正式に腕時計の新しい領域に入ったことになるだろう。ベン・クライマーはあるコレクターがこの時計を、ブランドにとって越えてはいけない一線だと冗談めかして言っていた。今後のロレックスのリリースをプレ絵文字、もしくはポスト絵文字として見ていくことにしよう。

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