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1930年代、ふたりのポルトガル商人がIWCを訪れたことに由来する、

かつて「インターナショナル・ウォッチ・カンパニー」と呼ばれたIWCの歴史は1868年、アメリカ人時計師のフロレンタイン・アリオスト・ジョーンズによって始まった。彼はアメリカの先端技術とスイス伝統の職人技を融合させる夢を実現するため、欧州最大級の水量を誇るライン川の水力発電を利用しようとスイスのシャフハウゼンを訪れた。IWCがスイス時計の名門でありながら、独特の質実剛健な雰囲気と、革新への挑戦的な気質を持つ理由は、創業者がアメリカ人だったこと、そしてスイス時計産業の中心から遠く離れたドイツとの国境の町シャフハウゼンで時計製造を続けたからにほかならない。

 長い緩急針やバイメタル補正テンプを備えたジョーンズ・キャリバーで成功したIWCは、世界初のデジタル表示式懐中時計など数多くの傑作を世に送り出す。確かな技術力に華麗な装飾をまとった時計は、多くの王侯貴族に愛された。

 IWCの“近代”が始まったのは1930年代だ。現在に続くパイロット・ウォッチ・シリーズのルーツとなるIWC初の航空用腕時計が、1936年に口火を切った。さらに3年後の1939年、上品な高精度ウォッチのルーツとなるポルトギーゼが生まれた。この大型ウォッチもまた、IWCが誇るもうひとつのフラッグシップへと成長していくのだ。

ポルトギーゼ・オートマティック 40

ホライゾンブルーダイヤルを備えたポルトギーゼ・オートマティック 40。

今から90年ほど前、ふたりのポルトガル商人がシャフハウゼンのIWC本社を訪れ、「マリンクロノメーター(甲板時計)に匹敵する高精度な航海士向け腕時計」の製作を依頼した。IWCは懐中時計用の高精度キャリバー74を、当時の腕時計にしては巨大な41.5mm径ケースに搭載。これが1939年に完成した初代ポルトギーゼ(ポルトガル人の意味)、Ref.325だ。視認性に優れたシンプルなアラビア数字や、スリムなリーフ針とベゼル、大型ケースの組み合わせは当時の懐中時計に倣ったもので、現行モデルにも継承されるアイコニックな意匠が、すでに初代モデルから揃っていたことに驚かされる。


オリジナルのポルトギーゼ Ref.325(1939年)


ポルトギーゼ・ジュビリー(1993年)

IWCスーパーコピー代引き 激安その後、キャリバー98にアップデートしつつRef.325は継続販売されたが、やはり時流的には大きすぎたのだろうか。生産中断を経て、あらためてポルトギーゼが姿を現したのは1993年、IWCの創業125周年を記念した特別限定生産モデルであった。このポルトギーゼ・ジュビリーは、キャリバー98直系のキャリバー9828を鑑賞できるトランスパレントバック仕様に改められたのを除いて、ほぼオリジナルを忠実に再現していた。世界の時計愛好家たちに熱烈に支持され、IWCは以後、ミニッツリピーターやクロノグラフを1995年に発表するなど新生ポルトギーゼをレギュラー化。一方、Ref.325譲りの日付のないスモールセコンド仕様が40mm径でレギュラーに加わったのは、少し遅れて2020年からとなる。

 2024年新作のポルトギーゼ・オートマティック 40は、その初代モデル直系となるスモールセコンド仕様のケースデザインを見直しつつ、表裏ともに硬質で透明度の高いボックス型サファイアクリスタルを採用。文字盤とムーブメントの両面を、よりクリアに鑑賞することが可能になった。

 “ホライゾンブルー”と名付けられた淡いスカイブルーのダイヤルは、昼下がりの太陽から降り注ぐ光と、シャフハウゼンに広がる澄み切った青空を表現したもの。透明なラッカーを15層も塗り重ねて奥行き感を出し、艶やかな光沢を放つまで研磨とポリッシュ仕上げを施すなど、60工程もの複雑なプロセスを経て完成する。その最終段階で、ひとつずつ手作業で設置していくアプライドインデックスと、繊細なリーフ針はロジウムメッキ仕上げだ。明るいホライゾンブルーの光をまとったサンバースト仕上げのフェイスに、スリムになった18KWGケースの輝きとサントーニ社製カーフストラップの色彩が、実に優雅に呼応している。

 搭載ムーブメントは、セラミック製パーツを使ったペラトン式自動巻き機構採用の自社製Cal.82200。約60時間のロングパワーリザーブを備えた実用性の高さもIWCらしい。

ポルトギーゼ・オートマティック 40

ポルトギーゼ・クロノグラフ

デューンダイヤルを備えたポルトギーゼ・クロノグラフ。

創業125周年を祝して限定復刻したポルトギーゼ・ジュビリーの好セールスを受け、1995年に量産化されたのがポルトギーゼ・クロノグラフ・ラトラパンテ、Ref.3712である。ETA7750の自動巻き機構を省いたかわりに、リチャード・ハブリングが開発したスプリットセコンドモジュールに乗せ換えた手巻きムーブメントを搭載しており、センター軸から伸びる2本目の秒針と10時位置のボタン追加によって、ふたつのタイムを同時に計測できた。その複雑機構に加えて特筆すべきは、スポーティにしてエレガントな文字盤デザインだ。スリムなリーフ針やアラビア数字インデックスなどポルトギーゼのエッセンスを継承しながら、サブダイヤルを縦に配した独自のレイアウトと、8振動/秒に合わせたインナーフランジの1/4秒目盛りで、計測時間を正確に表示する。


ポルトギーゼ・クロノグラフ・ラトラパント(Ref.3712)


ポルトギーゼ・クロノグラフ(Ref.3714)

 1998年には、スプリットセコンド機構を外して自動巻きに戻したCal.79240搭載のポルトギーゼ・クロノグラフ Ref.3714が誕生した。ベゼルレスに近い大口径の文字盤と繊細なアラビア数字、スモールセコンドと30分積算計の窪んだインダイヤルなど、シンプルで上品なデザインを完璧に受け継ぎ、その構成要素は現在までの26年間、ほぼ変わることがなかった。2020年に自社ムーブメントCal.69355にアップデートされたのを機に、従来のメタルバックがトランスパレントバックとなって魅力を高めたが、やはり文字盤デザインには手を付けていない。時代を超越し、長期にわたって人々から愛され続ける“ロングセラー”とは、まさにこのような時計のことを指すのだ。

 2024年に誕生したポルトギーゼ・クロノグラフ(デューン)も、まったくその延長線上にある。新作4モデルのうち唯一、従来と同一形状のケースが採用されており、41mm径×13.1mm厚のサイズにコラムホイールと垂直クラッチを備えた46時間パワーリザーブの自社製Cal.69355を搭載。1995年のデビュー以来、伝統と品格を兼ね備えたクラシカルな王道デザインのポルトギーゼに新しい文字盤カラーが新鮮な印象を与えている。

 テーマカラーの“デューン”は、シャフハウゼンに沈みゆく太陽の黄金の光に包まれた夕暮れ時がインスピレーションの源だ。ほかのバリエーションと同じく真鍮ベースにサンバースト加工を施し、カラー塗布の後に15層の透明なラッカーを重ねて磨き上げ、ハイグロス仕上げとしている。水運交易で栄えた中世の建築物が残る風光明媚なシャフハウゼンを包む黄昏の色彩は、ユーザー個々の郷愁を誘うノスタルジックな美しさに満ちている。

ポルトギーゼ・クロノグラフ

ポルトギーゼ・オートマティック 42

オブシディアンダイヤルを備えたポルトギーゼ・オートマティック 42。

軍用ならまだしも、1930年代の市販用としては大きすぎた41.5mm径の初代ポルトギーゼだったが、ミレニアムイヤーとなり、ようやく時代が追いついてきたようだ。2000年に2000本が限定発売されたポルトギーゼ・オートマティック 2000は、42.3mmの堂々たるケースを採用し、一見クロノグラフにも見える文字盤のサブダイヤルは、9時位置がスモールセコンド、3時位置はパワーリザーブ表示だ。アプライドのアラビア数字や細身のリーフ針など、オリジナルモデルのクラシックなデザインを踏襲する一方、IWC技術陣はそこに21世紀の始まりを記念するにふさわしい最高の機能を盛り込んだ。すなわち、5年もの開発期間を経て完成した自社キャリバー5000である。偉大な懐中時計の伝統を受け継ぐ当時世界最大級の自動巻きムーブメントは、直径38.2mmの堂々たるサイズに驚異の7日間パワーリザーブを有し、しかも双方向巻き上げ式のペラトン爪レバー式自動巻き機構というIWCの伝統技術も復活させた。


ポルトギーゼ・オートマティック 2000

 2004年に通常生産モデルとして再デビューを飾ったポルトギーゼ・オートマティックは、6時位置にデイト表示を備えてキャリバー50010となり、翌年には緩急針のないフリースプラングテンプが採用され、さらに振動数が毎時1万8000振動から毎時2万1600振動に引き上げられたキャリバー51010へと、飽くなきアップデートを続けた。

 ご存じのように機械式時計のパワーリザーブとは、ゼンマイが完全に巻き上げられた状態から時計が停止するまでの作動時間のこと。IWCの50000系キャリバーは、長さ875mmの主ゼンマイにより、実質8日半作動するエネルギーを秘めながら、トルク低下による精度悪化を防ぐため、1日半の余裕を持たせて7日間が経過すると自動的に停止する仕組みだった。これもIWCが質実剛健といわれる理由である。

 2015年、50000/51000系キャリバーは過去最大級の進化を遂げ、新世代の52000系キャリバーが誕生する。大型香箱をふたつに分割することでスペースの余裕を生み出し、そのぶん輪列のレイアウトを最適化して中間車を減らした。こうしてトルクロスを抑えて高効率化した結果、キャリバー52010は毎時2万8800振動にハイビート化しつつ7日間パワーリザーブを堅持。さらに、ペラトン自動巻き機構の巻き上げ爪と自動巻きホイール、ローター軸受けをセラミック製とし、摩擦をほぼ排除して耐久性も向上させた。

 2024年新作のポルトギーゼ・オートマティック 42は、信頼性の高い52000系キャリバーを、精巧なサーキュラーグレイン仕上げとコート・ド・ジュネーブ装飾を施して継続採用している。一方、18Kレッドゴールドの42.4mmケースは、ベゼルを低くして裏の厚みを抑え、全体をスリムに見えるよう設計が変更された。そして漆黒の夜空と、金色に輝く街の夜景を表現したデザインコード“オブシディアン”を投入。黒曜石の文字盤にサンバースト仕上げを施し、ラッカーを塗り重ねたあとで丁寧にポリッシュ仕上げを繰り返し、透き通るように艶のあるブラックの質感を生み出した。新しいボックス型のサファイアクリスタルを通して、ゴールドのアプライドインデックスとゴールドメッキの針が、ブラック文字盤に浮いているようにも見えて神秘的だ。

ポルトギーゼ・オートマティック 42

ポルトギーゼ・パーペチュアル・カレンダー 44

シルバームーンダイヤルを備えたポルトギーゼ・パーペチュアル・カレンダー 44。

1年の長さは、厳密には365日5時間48分46秒。現在、我々が使っているグレゴリオ暦では、これより約4分の1日短く、4年ごとに2月29日を設けて差を調整している。そのため西暦の数字が4で割り切れる年はすべて閏年だ。しかし、これではグレゴリオ暦のほうが実際よりわずかに長くなるため、西暦の末尾が“00”となる年は400で割り切れる年のみを閏年と定めた。2100年、2200年、2300年は2月28日までしかないが、2000年や2400年は閏年になって2月29日が存在するわけだ。

 その難解なグレゴリオ暦を制するため、IWCの主任時計師クルト・クラウスは1985年に世界初の永久カレンダー・クロノグラフであるダ・ヴィンチ・パーペチュアル・カレンダーを開発した。グレゴリオ暦の例外となる2100年まで修正や調整が必要ないのはもちろん、一般的な日付ディスクを動力源に、すべてのカレンダーを動かすという斬新なアイデアで部品数を大幅に減らし、しかもリューズを回すだけですべてのカレンダーを簡単に進めることができた。122年で1日しかずれない高精度なムーンフェイズや、アイコニックな2499年まで表示できる4桁の西暦表示を含めて、時計愛好家たちの心をわしづかみにした傑作だ。


ポルトギーゼ・パーペチュアル・カレンダー(Ref. 5021)

 この画期的かつ実用的な永久カレンダーモジュールを、ダ・ヴィンチはETA7750に載せていたが、7日間駆動の旗艦ムーブメントである前述の自社キャリバー5000に統合したのが、2003年初出のポルトギーゼ・パーペチュアル・カレンダー Ref.5021である。特殊な減速輪列の採用により577.7年に1日のずれしか生じない高精度なムーンフェイズは、南北半球の月の満ち欠けを同時表示する、IWCらしい独創的な仕様となった。

 2024年新作のポルトギーゼ・パーペチュアル・カレンダー 44は、ベースムーブメントに新世代52000系を採用した、さらなるアップデート版Cal.52616を搭載している。クルト・クラウス式永久カレンダーをはじめ、ダブルムーンフェイズ、4桁の西暦表示、セラミックを使ったペラトン自動巻き機構付きのツインバレル7日間パワーリザーブなど、44.4mmケースに望みうるすべての機能を収めた、まさにIWCのオート・オルロジュリーを象徴する存在と言える。

 従来のレッドゴールドより硬度を高め、耐摩耗性を向上させた18K Armor Gold®採用の新型ケースは、スリム化したケースリングと表裏のボックス型サファイアクリスタル採用によって、横から見るとよりエレガントな印象だ。月面を思わせる白銀の輝きを表現した“シルバームーン”の文字盤は、他と同じく複雑なプロセスで精巧に作られており、真鍮とラッカー層から削り出した4つのサブダイヤルと相まって、極めて重層的に作り込まれている。この格調高いシルバーメッキの文字盤も、ソリッドゴールドのローターとブラックセラミックの歯車が際立つトランスパレントバックも、まるで永遠の宇宙とつながっているかのように神々しい。

ポルトギーゼ・パーペチュアル・カレンダー 44

 1993年に復活したポルトギーゼは、いまやIWCのアイコンといっていい存在となった。大型ケースの力強い存在感と、気品漂うエレガントな意匠、技術の粋を投入した高度な機能性は、各ラインナップのオリジンから脈々と継承されてきた歴史的な正統性も持ち合わせている。そんな安定感のあるロングセラーだからこそ、創業の地シャフハウゼンへのリスペクトを込めた2024年新ポルトギーゼの4つの色彩は、IWCファンならずとも嬉しいサプライズとなったはずだ。しかも“時の移ろい”を愛する日本人の心情にも深く共鳴する。デザイン的に完成の域に達しているコレクションでありながら、さらなる進化の余地があることを証明したとも言える。

 そして機能的な進化の可能性については、同時に発表された新作ポルトギーゼ・エターナル・カレンダーが確かな裏付けとなる。前述したグレゴリオ暦の例外、すなわち、400年に3回スキップする閏年には手動による調整が必要だった従来の永久カレンダーに対して、この超複雑時計は4世紀で1回転する400年歯車によって、その例外さえも自動調整することが可能な、IWC初のセキュラー・パーペチュアル・カレンダーとなった。また、南北半球の月齢を同時に表示するダブルムーン™は、4500万年にわずか1日分の誤差という桁外れの超高精度を実現している。

 こうしてポルトギーゼ・コレクションは機能的にもデザイン的にも限界を超えて進化を続け、未来永劫にわたって我々の心を揺さぶり続けるのだ。

パテック フィリップコーナーがブティックさながらの設えでリニューアルオープン。

杜の都、仙台の美しい新緑が広がる定禅寺通に位置するHF-AGE仙台店のパテック フィリップ・コーナーが、6月8日(土)にリニューアルオープンを迎えました。HF-AGEは1989年に創業し、今年で35周年。実はHF-AGEでパテック フィリップの取り扱いが始まったのは1997年からで、当時は高崎の店舗の奥に構えられた小さなショーケースからのスタートだったそう。現在もパテック フィリップの正規販売店は、東北6県でHF-AGEが唯一です。


約700mの定禅寺通には4列166本の美しいケヤキ並木が並び、その美しい様子はHF-AGEの店舗の窓ガラスに映る。

今回のリニューアルでは、仙台店に隣接するスペースにフロアが拡張され、パテック フィリップ専用の新たなコーナーが設けられました。コーナーではありますが、路面にもパテック フィリップのブランドロゴが掲示されており、まるでブティックのような印象です。パテック フィリップの最新コンセプトが導入されたコーナーの延べ床面積はこれまでの3倍となる約100㎡に増加し、ゆったりとした応接スペースも設けられています。


VIPルーム

また、口コミ第1位のパテックフィリップスーパーコピー代引き専門店エッセンシャル・メンテナンスルームも設置されているため、ストラップ交換やブレスレット調整、バッテリーサービスなどのメンテナンスもその場で受けることが可能です。これらのサービスは、スイスでパテック フィリップの認定を受けた専門スタッフによって提供されるとのこと。


プラン・レ・ワットの新工場完成を記念したスティール製のカラトラバ
6007A−001。


2024年新作のワールドタイム 5330G。

店内には今回のオープニングに合わせて、2024年新作モデルをはじめ、パテック フィリップの創業175周年を記念したモデルを含む約40本の貴重な時計が展示されていました。展示品のなかには、同店で購入されたお客様からお借りしているものも一部含まれており、普段めったにお目にかかることのないものもありました。

 HF-AGE仙台店の新しいパテック フィリップ・コーナーは、仙台のみならず東北6県のパテック フィリップのファンや時計愛好家たちにとって重要な拠点となることは間違いないありません。


パテック フィリップ創業175周年を記念したワールドタイム5575G-001。


同じく175年にわたるウォッチメイキングを記念した限定のクログラフ 5975J-001。


パテック フィリップ ウォッチアート・グランド・エキシビション / 東京2023で発表された限定のワールドタイム 5330G-010。


こちらも東京開催のグランド・エキシビションで登場した希少なハンドクラフトからカラトラバ 5089G−125《蜜柑と花を配した鍔》。


ハンドギヨシェとクロワゾネエナメルのダイヤルが特徴的な10本限定のカラトラバ 5077/100R-057《花柄の着物》。

HF-AGE仙台店

住所: 宮城県仙台市青葉区国分町2丁目14−18定禅寺パークビル1F
お問い合わせ: 022-711-7271
営業時間:11:00〜19:30(水曜定休)

エルメスのコレクションに36mm径の機械式スポーツウォッチが加わった。

エルメスは主に女性をターゲットとする機械式ムーブメントを搭載した36mm径のスポーツウォッチの新ラインを発表した。カットは“メンズ”のH08よりも小さく、丸みを帯び、ソフトな印象だ。私の第一印象は、シンプルでクリーン、そして分かりやすい(そして商業的に成功しそうな)時計であり、このカテゴリーの成長に向けて全速力で前進し続けるというブランドの意思を証明するものである。

エルメスの時計は、1970年代にジャン=ルイ・デュマ(Jean-Louis Dumas)がエルメスを改革して以来、ファッション愛好家やブルジョア消費者のあいだでは定番の存在となっている。アルソーやケープコッドのようなシグネチャーモデルの人気は大衆市場においてピークと下降を繰り返したが、純血主義的な愛好家グループ外に存在する古くからの時計愛好家や、ファッションにこだわる人たち(マルタン・マルジェラによるダブルツアーのアイデアを参照)のあいだでは不動の人気を誇っている。5000ドル前後のエントリーレベルでの成功は、これまでは馬術にインスパイアされた見栄えのするデザインと、文字盤のエルメスブランドのパワーによってもたらされるものであった。

Hermes The Cut with interchangeable straps
自社製機械式ムーブメントを搭載し、エナメルや象嵌細工などの複雑な装飾を施したハイエンドモデルの増加によってエルメスの時計部門は近年成長を続けているが、これはメゾンが新たな1歩を踏み出したことを意味する。この時計分野における勢いを支えているのはH08の成功だ。H08は現代のエルメス顧客のニーズに応えるために考案された、インダストリアルな外観を持つ21世紀のスポーツウォッチである。エルメスの年次活動報告書によると、2023年の売上高に占める時計の割合は、2020年の3%に対して5%と上昇している。これは切り分けられたパイの小さなひと切れのように見えるかもしれないが、そのパイは巨大でしかも着実に成長している。2023年の連結売上高は134億ユーロに達し、2020年の64億ユーロから大幅に拡大している(成長率100%以上)。エルメス・オルロジェの売上高にはAppleWatchのブレスレットは含まれていない。高級レザー製のハンドバッグを主な商品とするエルメスにとって、時計が事業全体と同じペースで推移しているだけでなく、右肩上がりで伸びていることは大きな勝利である。

すべてのエルメスバッグスーパーコピー 代引きが同じように作られてきたわけではない。多くの人がクォーツムーブメントの副産物だと主張するようなものからレザーグッズカテゴリの主力となるような製品に至るまで、そのリリースは長い道のりを歩んできた。そして今日ではエルメスは機械式時計の分野で正当な地位を確立している。同社は2006年にはパルミジャーニ・フルリエのヴォーシェ・マニュファクチュール(ムーブメントを製造)の株式を取得し、2012年にはラ・ショー・ド・フォンのナテベールSA(文字盤を製造)、2013年にはル・ノワルモンのジョセフ・エラールSA(ケースを製造)を買収している。2017年にはケースと文字盤の事業部門はル・ノワルモンに集められ、“Les Ateliers d'Hermès Horloger”と命名された。今年2月に発表されたモルガン・スタンレーの第7回スイス時計年次報告書では、オートオルロジュリー(平均販売価格30万ユーロ前後の時計)に力を入れ、毎年100本前後を販売することでエルメスの時計製品の位置づけを再構築し、ブランドの時計としての魅力を高めている(ハロー効果として知られる戦略)と報告しされている。

エルメスは時計市場のダイナミックな嗜好の変化を受け入れてきた。ビジネス・オブ・ファッションによると、エルメス・オルロジェのローラン・ドルデ(Laurent Dordet)CEOは、同社の売上の80%を女性が占めていると述べている(ただし、これが本数で測られているのか、売上額で測られているのかは不明)。自社製ムーブメントであるCal.H1912を搭載した“女性のため”の腕時計であるカットは、まさにメンズとレディースの中間に位置する製品である。比較的ニュートラルなデザインにとどめて直径36mmという中性的なサイズを打ち出すことで、メゾンはこの時計を分け隔てなく手に取れるように配慮している。女性向けの商品でありながら、誰が何を着用すべきかを押し付けるのではなく、消費者に判断を委ねているのだ。

カットはエレガンスのなかにもスポーティさがある。このモデルはエルメス流のスポーツウォッチでありながら、そのデザインはエルメスそのものであり、現在市場に出回っているスポーツウォッチの派生モデルとは一線を画している。より無骨でインダストリアルなH08よりも主張しすぎないシルエットで、スリムで身につけやすい。現在この時計には36mm径のなかでバリエーションを用意しており、交換可能なラバーストラップにはメゾンのレザーコレクションをイメージしたカラーも見られる。もっとも手に取りやすいモデルが93万8300円(税込)で、ステンレススティールとローズゴールドのコンビにダイヤモンドをあしらったモデルが226万6000円(税込)となっている。

H08の成功を踏まえれば、より幅広いスポーツウォッチファンの需要に応えるためになぜH08を縮小しなかったのだろうか、という疑問も湧くかもしれない。SS製スポーツウォッチが飽和状態にあるのは事実だろう。“ジェラルド・ジェンタがてがけた”以外のブランドにとって、新しい“女性向け”スポーツウォッチ(この市場での成功は非常に難しいことで知られている)の展開は困難なものであることは間違いない。画一的であることが正解だとは必ずしも限らないのだ。

「大きなモデルを縮小して小さなサイズにすることが、必ずしも正しいアプローチとなるわけではありません」と、エルメスウォッチのクリエイティブ・ディレクターであるフィリップ・デロタル(Philippe Delhotal)氏は言う。「仮にH08を小さいサイズで作ったとしても、プロポーションが適切なものになったかはわかりません。だからまったく新しいデザインにしたのです」

カットをラインナップに加えることは、双方向へのアプローチによって成功の可能性が高まることを意味する。H08が現在、女性の一部で受け入れられているようにカットは間違いなく多くの男性顧客に支持されるだろう。

2023年発表のエルメス H08 クロノグラフ。モノプッシャータイプのクロノグラフを搭載。

デザインはエルメス・オルロジェ(特に中価格帯の製品群)において非常に重要であり、かつうまく機能する方程式に則っている。それによって競合する中堅どころの機械式スポーツウォッチとは一線を画しているのだ。時計はスイスで製造されているかもしれないが、エルメスはフランスの規範を持つフランスのメゾンである。

「メゾンの価値観、グラフィックチャート、そしてメチエ(専門技術)を横断する多くのクリエーションにどっぷりと浸かってきました」と、このメゾンで16年間勤務しているデロタル氏は語る。「時計であれ、あるいはまったく別のものであれ、何かをデザインする前には必ずエルメス的な感覚、フランス的な味付け、ひいてはパリ的なニュアンスが入り込んでくるものなのです」

Erin O’Keefe’s colourful set at Watches and Wonders 2024
Watches&Wonders 2024のエルメスブースに見られた、リン・オキーフ(Erin O’Keefe)の造形物。

カットのケース形状とそのなかに見られる図形(クッションケースのなかにサークルがある)は、エルズワース・ケリー(Ellsworth Kelly)氏と彼の幾何学的な抽象画、あるいはソフィー・タウバー・アルプ(Sophie Taeuber-Arp)氏の完璧な円形と長方形からなるフォルムを思い起こさせる。実はカットのアイデアは、2015年にエルメスがポンピドゥー・センター・メスで開催した 『Formes Simples』という展覧会を元にしているという。

「10年前、私たちはエルメスのクリエイションとアウトプットを振り返りました」とドルデCEOは説明する。「最終的に私たちは常に時代を超越したシンプルな形、つまりギリシャ彫刻からブランクーシ(Constantin Brâncuşi)やジャン・アルプ(Jean Arp)のような近代芸術家、さらにはアニッシュ・カプーア(Anish Kapoor)が生み出した先史時代から存在する人工的なシンプルな形に焦点を当てるという結論に達しました。シンプルに見えて、決してシンプルではないもの。そのアイデンティティはディテールから引き出されます」

そしてこの場合のディテールとは、蹴り出された時計のエッジにある。そう、 カットだ。

時計のエッジは丸みを帯び、左右のケースの側面にはまるで丸石に切り込んだかのような(あるいはなめらかに浸食したかのような?)カットが施されている。またリューズは1時30分の位置にあり、両側のカットラインを邪魔しないようになっている。コンセプチュアルであり、アイデンティティを表現する形状というやや高尚なアイデアに加えて、エルメスの小さなシグネチャーもあちこちに散りばめられている。Hのエングレービングにラッカー仕上げが施されたリューズ、グレーとオレンジのアクセントが効いたミニッツトラックと、SS製モデルにおいてその上を流れるエルメスオレンジの小さなドットが光る秒針、そしてH08とは異なるデザイン性の高いタイポグラフィなど、カットは独自のデザイン言語によって生み出されている。

時計の文字盤にグラフィカルなタイポグラフィを用いるのはエルメスならではの感覚だ。

「時計製造の世界では、タイポグラフィを優先することはあまりありません」と、デロタル氏。「タイポグラフィはそれ自体がメチエであり、文字盤のデザインに取り入れるにはリスクが伴います。伝統的なインデックスを採用すれば、そのようなリスクはありません。しかし完全なシンメトリーではなく、少し風変わりな12の数字をデザインする場合、自分の仕事を増やすことになります。それはそう簡単なことではありません」

しかしそれこそがエルメスの素晴らしさであり、彼らは時計製造において、またそれ以外においても伝統とモダニティのバランスを取る方法を心得ているのだ。

エルメスのビジネスが好調であることは明らかであり、その時計部門はCovid以降に見られた急成長の一翼を担っている。H08は従来の中価格帯のエルメスウォッチの概念を覆しただけでなく、ブランドのファン層を“シリアス”な時計愛好家と位置づけられる層にまで拡大した。現在、カットはH08年の成功とエルメスのオート・オルロジュリーに対する評価の高まりという追い風に乗っている。しかし中世のスイスをルーツとしない新しいSS製スポーツウォッチを、私たちは喜んで受け入れることができるだろうか? 文字盤からエルメスを外し、JLCを加えれば、おそらくコメント欄は万人からの賞賛で埋め尽くされるのではないだろうか?

マルタン・マルジェラの90年代風の脱構築的テイストに乗ったケープコッドが発売されたときのように、このスポーツウォッチは今の時代にマッチしており、女性(そしてもちろん男性も)にとって手に取りやすく理解しやすいものとなっている。今日、私たちはアスレジャーの時代に生きている。アスレジャーとは、快適であることを大前提に素材にこだわったハイテク製品の総称だ。アスレジャーはもはやそれ自体がファッションステートメントではなく、アパレル業界の隅々にまで浸透している。

同じことがSS製スポーツウォッチにも言える。もはや当たり前の存在になってきているのだ。最近の高級ファッション界隈においては、ロゴや モノグラムよりも糸番手やカシミア混率が重要視されるようになり、アスレジャータイプのアイテムに熱狂する消費者が増えている。現代において成功を示す本当の指標はあまりに普遍的すぎて気に留められなくなるような商品となることなのかもしれない。ロロ・ピアーナのセーターとか、ザ・ロウのハンドバッグとか、あるいはルルレモンの黒いレギンスとか。(ケリーやバーキンのバッグは別として)エルメスは控えめながらもしっかりとブランドをアピールする巧みな舵取りを行っている。メゾンはブランディングを最小限にとどめ、セレブを起用したプロモーションもない。エルメスは自らの価値を熟知しているのだ。

カットはエルメス流のスポーツウォッチで、エレガントかつデザイン性に優れ随所にオレンジのニュアンスが散りばめられている。時計の本質そのものはシンプルだが、シンプルであることを正しく表現するのは至難の業だ。商業的にわかりやすく消費するために作られた時計であることは明確で、このことについて問われてもブランドは少しも動じなかった。エルメス・オルロジェは、(香水と同様に)卸売りも行っている唯一の高級宝飾ブランドであることを忘れてはならない。

今のところ、エルメスのビジネスは揺るぎない。おそらくどんな時計を発表しても収益が伸びるほど事業は好調なのだろう。エルメスが真の時計メーカーであるかどうかはともかく、カットは今日の消費者の要求にきちんと応えたものであり、このモデルはエルメスを時計も作るラグジュアリーメゾンではなくウォッチブランドとして位置づける一助となるはずだ。

フィリップスによるジュネーブ・オークションに真の傑作が出品された。

フィリップスによるジュネーブ・ウォッチ・オークション:SIXが開催される。いまさら驚くべきことでもないかもしれないが、今回も何をピックアップするか迷うほどに素晴らしいロットが並んでいる。そのなかに、私が特に注目している1本がある。やや専門的な話になるが、フィリップスがこれまで出品してきたなかでも最も歴史的かつ技術的に興味深い時計だ。

トゥールビヨンウォッチは、今ではどこにでもあるとは言わないまでも、少なくとも特別な存在ではなくなった。ただし本当に優れたトゥールビヨンには、これまでもこれからも称賛されるべき価値がある。そしてこれは機械式時計全般にも当てはまる。普及度の面でも、私たちが何を称賛すべきかという観点でも同様だ。

しかしながら、スーパーコピー Nランク代金引換専門店かつてトゥールビヨンは極めて希少な存在だった。その理由は明白で、製作には高度な技術と精密さが求められたからだ。トゥールビヨンの製作は名声だけでなく、天文台クロノメーターを競う栄誉をかけた争いの場でもあった。そして最も有名な天文台トゥールビヨンのいくつかは、時計業界の名門ブランドによって生み出された。特に有名なのが1940年代にパテック フィリップがてがけたものだ。そのうちひとつのトゥールビヨンムーブメントは、パテック フィリップのフィリップ・スターン(Philippe Stern)氏のためにケースに収められ、実際に同氏が着用していた。現在それは、パテック フィリップ・ミュージアムに収蔵されている。

最初のトゥールビヨンウォッチは、リップによって作られたと言われており、1931年または1932年に長方形のトゥールビヨンウォッチのプロトタイプが製作された。腕時計に理論上搭載可能な非常に小型のトゥールビヨンムーブメントはほかのメーカー(パテックを含む)でも製作されていたが、それらは主に天文台クロノメーター競技用であったり、メーカーの技術力を示すためのものであったため、一般的に腕時計としてケースに収められることはなかった。同様の例としてル・ロックルのフリッツ・アンドレ・ロベール・シャルー(Fritz-André Robert-Charrue)が製作し、1945年ごろに完成したトゥールビヨンムーブメントが挙げられる。直径はわずか19.7mmであった。

最初期のトゥールビヨンに関心のある人なら、オメガの19石 Cal.30 Iトゥールビヨンムーブメントの存在もご存じだろう。これらは合計12個製作されたそのすべてが直径30mmで、ジュネーブ天文台コンクールの腕時計部門で競うために設計された。最近まで、これらのムーブメントは実際にはケースに収められてこなかったと考えられていた。しかし1987年にオメガは12個のうち7個を発見し、再仕上げ・組み立てを行い、腕時計としてケースに収めてコレクター向けに販売した。そのうちのひとつは現在もオメガミュージアムに収蔵されている。しかしフィリップスの出品物はスティールケースで、1947年にプロトタイプとしてケースに収められたという経緯を持つようだ。

omega 30 I tourbillon, cased in steel in 1947
特筆すべきは、このムーブメントがこれまで確認されていた12個のうちのひとつ含まれていないという点だ。オメガのアーカイブにある書簡や図面を引用したフィリップスの解説によると、このムーブメントは写真の腕時計のプロトタイプとして特別に製作された可能性がある。このロットの説明文には、次のように記されている。

「1947年の日付が記された手紙がオメガミュージアムに保存されており、そのなかでジュウ渓谷の時計学校の校長であるマルセル・ヴュイユミエ(Marcel Vuilleumier)氏はアメリカやイギリスの時計の台頭を懸念し、スイスの時計産業が精密時計の開発に注力する必要性を強調、トゥールビヨンウォッチの製作を提案している。最近1947年のトゥールビヨンウォッチのプロトタイプケースのオリジナル設計図が発見されたが、これはCal.30 Iトゥールビヨンムーブメントを量産腕時計に組み込むための取り組みが進められていたことを示している」

Omega 30 I Wristwatch Prototype Tourbillon
これまで知られていた12個のムーブメントと同様に、これは純粋に計時性能を追求した機械であった。トゥールビヨンが垂直位置での精度向上にわずかな優位性をもたらし、天文台コンクールでも検討する価値があると考えられていた時代に製作された。仕上げの面で語るべき要素ほぼ皆無だが、それもそのはず、このムーブメントの製作者たちは外観の美しさにはまったく関心がなかった(ジョージ・ダニエルズは著書『Watchmaking』で、「時計職人が技術的課題を持たないときに、彼らは仕上げを楽しむのだ」と述べている。確かにCal.30 Iの製作者たちは、まさに技術的課題と格闘していたのだ!)。

このムーブメントでも特に注目すべきは、トゥールビヨンの回転周期が7.5分である点だ。通常の60秒とは大きく異なるこの遅い回転速度により、テンプと脱進機の位置を絶えず変化させることができ、高速回転による慣性負荷を抑える効果があると考えられていた。また、ギヨーム(バイメタル)テンプとスティール製のヒゲゼンマイを搭載している。当時、ニッケルスティール製のニヴァロックス系ヒゲゼンマイが普及し始めていたが、ギヨームテンプのほうが温度補償性能に優れていた。

風変わりななトゥールビヨン、精密調整されたテンプ、最高品質の素材と構造を誇るこのトゥールビヨンウォッチは、20世紀中盤の腕時計技術の最先端を象徴する存在だ。ふと思い返してみると、そのわずか10年後に最初の電気式腕時計が登場したことも興味深い。1957年にハミルトンからエレクトリックが発表されたが、機械式時計に対する実用的な優位性はなかった。しかしわずかその3年後に登場したブローバ アキュトロンは本当に革命的な時計だった。

この特別なオメガのトゥールビヨンはオメガミュージアムの承認を受け、フィリップスに出品された。オメガのアーカイブにはこのムーブメントがケースに収められた当時のオリジナル写真も残されており、リストにはそれらが掲載されている。機械式時計の精度追求に魅了される人、本物の時計製作の歴史を手にしたいと願う人にとって、これ以上ないほど特別な1本だろう。

この歴史的に極めて重要な時計のエスティメートは10万3000〜20万7000ドル(日本円で約1256万〜2525万円)だが、実際にはこれを大きく上回る可能性もある(編注:142万8500スイスフランで落札。当時の為替相場で換算すると、約1億6285万円になる)。ロット182の詳細な説明は、こちらで確認可能だ。

グランドセイコー SBGH271とSBGH273の後継機が細かなアップデートを加えて登場。

火曜日に、今年最初のグランドセイコーの限定モデルであるSLGH027を紹介した。そして本日は、グランドセイコーヘリテージコレクションに加わる新作2本、SBGH351 “立夏”とSBGH353 “秋分”を紹介する。これらは2019年に発表された人気の“二十四節気”コレクションに、自然に調和するモデルと考えてよいだろう。両モデルの名称は、日本の二十四節気のひとつに由来している。立夏は二十四節気の第7節で、春の終わりと夏の始まりを象徴し、秋分は第16節にあたり、秋分の時期に該当する。

SBGH351とSBGH353には、約55時間のパワーリザーブを備えた9S85ハイビート自動巻きムーブメントが搭載されており、40mm×12.9mmのエバーブリリアントスチール製ケースに収められている。もし先日紹介した限定モデルと比較したくなるなら、最信頼性の日本スーパーコピー時計販売専門店!SLGH027は約80時間のパワーリザーブを備えており、ケースはわずかに1mm厚くなっている。

文字盤デザインは、ファンに人気の高い二十四節気シリーズのSBGH271やSBGH273のダイヤルパターンと驚くほど似ている。SBGH351では、針とインデックスの色がゴールドからステンレススティールに変更されている点も特徴だ。SBGH351 “立夏”は、春から夏への移り変わりを表現したグリーンの文字盤を備えている。一方SBGH353は、日本の旧暦における秋分の時期、すなわち“秋分”の深夜の空を思わせるディープブルーの文字盤としている。また、これまでの二十四節気シリーズでは通常のSSが使用されていたが、この2モデルではグランドセイコーが世界で最も耐食性に優れたSSとうたうエバーブリリアントスチールが採用されている。

これらは限定モデルではないため、SBGH351 “立夏”とSBGH353 “秋分”はすでにブティックや正規販売店で予約受付中であり、価格はともに99万円(税込)となっている。

我々の考え
オリジナルの通常モデルとして登場した二十四節気コレクションは、2019年以来コレクションの定番となっており、当時も詳しく取り上げた。SBGH351とSBGH353には、これまでと同じ9S85ムーブメントが搭載されている。違いはケース素材にあり、今回のモデルではエバーブリリアントスチールへとアップグレードされている。これは確かに改良点と言える。この素材について調べた限りでは、成分構成はロレックスが採用する904LSSに近いものの、やや白みが強いようだ。理論的には、腐食耐性が大幅に向上する一方で316LSSよりもわずかに柔らかいとされている。汗の成分によって腐食しやすい体質の私にとっては、歓迎すべきアップグレードである。

この素材のアップグレードに900ドル(日本円で約14万円)の価値があるかどうかは、最終的に購入者の判断に委ねられるだろう。私が最も気になるのは、従来のゴールドのアクセントが施されたグリーンダイヤルを好む人が多いのか、それとも新たに採用されたSSの針とインデックスのほうが汎用性が高いと感じる人が多いのか、という点である。

基本情報
ブランド: グランドセイコー(Grand Seiko)
モデル名: ヘリテージコレクション(Heritage Collections)
型番: SBGH351(立夏)、SBGH353(秋分)

直径: 40mm
厚さ: 12.9mm
ケース素材: エバーブリリアントスチール
文字盤: グリーン(立夏)、ブルー(秋分)
インデックス: SS製アプライド
夜光: なし
防水性能: 100m
ストラップ/ブレスレット: エバーブリリアントスチールケース、ワンプッシュ3つ折れクラスプ

ムーブメント情報
キャリバー: ハイビート9S85
機能: 時・分表示、センターセコンド、日付表示
パワーリザーブ: 約55時間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 3万6000振動/時
石数: 37
クロノメーター: なし(日差+5〜-3秒)
追加情報: シースルーバック(サファイア)

価格 & 発売時期
価格: 各99万円(税込)
発売時期: 現在予約受付中
限定: なし

ジュネーブに拠点を置く独立系時計ブランドであるレイモンド ウェイルより、

ミレジム センターセコンド シェルマン リミテッド エディションが発表された。ミレジム(millésime)は元々、フランス語で“ヴィンテージ”を意味する言葉だ。1971年よりアンティークウォッチを中心に扱ってきたシェルマンとの協業により生まれた本作は、クラシカルなシャンパンゴールドのダイヤルを備え、ある意味そのモデル名に忠実なルックスに仕上がっている。ダークブラウンのレザーストラップとの取り合わせも王道で、エレガントな印象だ。

ミレジムはレイモンド ウェイルの名前を一躍有名にしたモデルだ。きっかけは2023年のGPHGにおける「チャレンジウォッチ賞」の受賞。1930年代に人気を博したセクターダイヤルを現代的な技術でアップデートし、ピュアでミニマルなデザインに仕上げたことが時計愛好家の琴線に触れた。39.5mmという、大きすぎも小さすぎもしない絶妙なサイズも汎用性に優れ、加えてセクターごとに高さを変え、それぞれに異なる仕上げを施すという繊細なアレンジも高く評価されたようだ。その後35mmの小径モデルやクロノグラフなどの登場で着々とコレクションは厚みを増し、現在ではブランドの代名詞的な存在へと成長した。今回の限定モデルは、そのなかでもセンターセコンドのモデルをベースとしている。

1月31日(金)に開催されたプレスカンファレンスでは、そのあたりの決定についても話があった。開発段階ではよりクラシカルなスモールセコンドも選択肢として残っていたそうだが、最終的なバランスを見て、シェルマン側の判断でセンターセコンドが採用されたようだ。2023年にはサーモンダイヤルのRef.2925-STC-80001をはじめとしたバリエーションがいくつかリリースされており、スモールセコンドに劣らず高い人気を誇っている。

2023年リリースのミレジム センターセコンド Ref.2925-STC-80001。

Ref.2925-STC-50001

極上スーパーコピー時計代引き専門店そら~このカンファレンスのために日本に駆けつけたというレイモンド ウェイルCEOのエリー氏は、シェルマンとの共同開発のなかで大きな衝突はなかったと語った。「(ヴィンテージライクな時計にしたいという)シェルマンからの最初の提案がすでにクリアなものでした。私の意見やミレジムとのコンセプトとも一致していたので、スムーズでしたね」。今回においては、ヴィンテージウォッチを愛好し、イメージを共有する者同士による企画であったことが功を奏したのだろう。

そのようにしてリリースされたミレジムのシェルマン限定モデルは、シャンパンゴールドカラーダイヤルによって気品溢れる佇まいを獲得している。このカラーについてはエリー氏の強いこだわりがあったようで、数多くのカラーサンプルから話し合いのなかで厳選し、決定されたようだ。さらに、シェルマン側からの要望によって文字盤上のブランドロゴ、および針のカラーは黒からアンスラサイトに変更。これにより主張が抑えられ、より落ち着いた雰囲気となった。また、クラシカルな書体で綴られた“12”時のアラビア数字も、3針のミレジムとしては初めて採用されたものだ。ブレゲ数字のようにも見えるが、現在35mm径のムーンフェイズモデルで使用されているものだという。

CEOエリー・ベルンハイム氏のファーストウォッチでもあったというパルシファル クロノグラフ。サブダイヤルに注目して欲しい。

さらに細かい点にも触れていこう。よく見ると、時間を示すセクターのインデックスがバーからバーにスクエアを組み合わせたものになっていることがわかる。これは60年代ごろのポール・ニューマン デイトナをはじめとしたシンガー社製の文字盤を持つ時計に多く見られたディテールだ。実はレイモンド ウェイルからも、90年代ごろに同じあしらいをサブダイヤルに備えたクロノグラフウォッチがいくつか登場していた。もちろん年代的にレイモンド ウェイルがシンガー社の文字盤を使用していたとは考えにくいので、デザインにあたり参照していたのだろうと思う。本作の文字盤について特定のモデルをベースにしていないということだが、エリー氏のファーストウォッチがこのディテールを備えたパルシファル クロノグラフであったという逸話も踏まえると、もしかしたらこっそりと取り入れたのかもしれない。

ケースバック下部には限定モデルであることを示す“1 of 30”も刻印。

ムーブメントはセリタのSW200をベースとしたCal.RW4200。パワーリザーブは約41時間で2万8800振動/時で駆動する。ローターにあしらわれたブランドイニシャルの“W”が印象的だ。裏蓋の下部には手元の時計が限定30本のうち1本であることを示す刻印も施されていて、ふと目に入ったときに所有欲を満たしてくれる。価格は30万8000円(税込)で、シェルマンの銀座 三越店、日本橋 三越店、新宿 伊勢丹本館店で30本限定で3月1日(土)より販売される。すでに各店では、実機を手に取って確認することも可能だ。

ファースト・インプレッション
シェルマンはもともと、銀座 三越店でレイモンド ウェイルを取り扱っていた。そして昨年にセクターダイヤルをあしらったミレジムが登場、GPHGでチャレンジウォッチ賞を獲得したタイミングで、ヴィンテージウォッチを中心に取り扱う時計店としてシェルマンなりのアレンジを取り入れたものを作りたいという思いがあったのだという。レイモンド ウェイル側もシェルマンのコンセプトに強く共感し、社内でも賛同の声が多く挙がったことから、今回のパートナーシップが実現した。

なお、これまでにさまざまな独立時計師と行ってきたコラボレーション同様に、本作のディテールにはシェルマンならではの神経質とも言えるアレンジが加わっている。たとえば先に挙げた12時位置のアラビア数字は、極力サイズを大きくしながら全体の雰囲気を壊さない繊細な調整のうえに配置。ブランドロゴについても、シェルマンはまずブランド側にサイズダウンの打診を行っている。ロゴの色変更は、それが叶わなかったうえでの次点の策だ。日本を代表するヴィンテージウォッチ取扱店として理想の時計像を追求するシェルマンならではのこだわりが、この一見してシンプルな限定モデルには詰まっている。

高橋らんど社長の手首で、ミレジムのリストショットを撮影させてもらった。

しかしミレジム シェルマン限定モデルは、ただ古きよき雰囲気を追求しているわけではない。その顔立ちは、サイズといい仕上げといいどこか現代的でもある。「セクターダイヤルのように、ヴィンテージを強く感じさせる要素を現代のブランドがどう表現するのかに興味があります」と僕に話してくれたのは、今回の限定モデルの企画に携わったシェルマン 日本橋 三越店の竹下店長だ。彼はプレゼンテーションの最中にも、なぜスモールセコンドではないのかという参加者の問いに「ヴィンテージをそのまま再現するのではなく、今考えられる“将来的なヴィンテージ”を目指している」と返答していた。本作で見られたヴィンテージ&モダンのバランス感も、このような意識から生まれているのだろう。

なお、先のセクターダイヤルに関するコメントは、「なぜシェルマン限定モデルにはセクターダイヤルが多いのか」という素朴な疑問に対する答えだった(ハブリング²にアトリエ・ド・クロノメトリー、アンデルセン・ジュネーブなどがまさにそうだ)。「セクターダイヤルばかりを意図して選んでいるわけではありません。しかしやはり私たちが好むものというのは明確ですし、おのずと多くなってしまっているというのが現状でしょう」。そして、次のように続けた。「私たちのてがけた時計が、過去と現代との橋渡し的な存在になってくれたらうれしいですね」

この日はミレジムのデザインにちなみ、シェルマンにあるセクターダイヤルモデルの一部が会場に並べられていた。

シェルマンとのコラボモデルリリースにあたり日本に駆けつけていた、レイモンド ウェイルCEOのエリー・ベルンハイム氏(左)とシェルマン代表の高橋らんど氏(右)とのツーショット。ふたりの手首には、ミレジムが見られる。

業界におけるヴィンテージウォッチの権威であるからこそ、現在、未来を見据えたものづくりを行うシェルマン。今回のミレジム シェルマン限定モデルには、その精神が強く息づいている。実際に撮影の合間に手首に巻いてみて、古典的なエレガントさだけでなく、デイリーに楽しめる普遍性も感じられた。あくまでも、レイモンド ウェイルがミレジムで目指す“ネオ・ヴィンテージ”の延長線上にあるモデルなのだ。

基本情報
ブランド: レイモンド ウェイル
モデル名: ミレジム センターセコンド シェルマン リミテッド エディション
型番:Ref.2925-STC-JAP01

直径: 39.5mm
厚さ: 9.25mm
ケース素材: SS
文字盤色: シャンパンゴールド
インデックス: プリント
夜光: あり
防水性能: 5気圧
ストラップ/ブレスレット:ピンバックル付きカーフレザーストラップ

ムーブメント情報
キャリバー: RW4200(SW200)
機構: 時・分表示、センターセコンド
パワーリザーブ: 約41時間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 2万8800振動/時
石数: 26
クロノメーター認定: なし

価格 & 発売時期
価格: 30万8000円(税込)
発売時期: 3月1日(土)
限定: シェルマン店頭でのみ販売、30本限定

レイモンド・ウェイルが新作「マエストロ」を発売~

スイス高級時計ブランド RAYMOND WEIL(レイモンド・ウェイル)が、『マエストロ』コレクションの新作モデルを4月25日(火)より全国の正規販売店およびレイモンド・ウェイル オンラインストアで発売します。

『マエストロ』コレクション~レイモンド・ウェイルは、 “ミュージック&アート”への深い造詣を色濃く反映させた時計づくりを行ってきました。その中でも、2010年に誕生した『マエストロ』は、クラシック音楽や音楽家へのスーパーコピーブランド 代金引換讃美を表現したコレクションです。偉大な音楽家たちの作品が色褪せることなく愛され続けるように、洗練さを失わないタイムレスなデザインが魅力です。スイス時計の伝統的な製造技術を受け継ぎながら、上品さとイノベーションを融合しており、スーツスタイル・カジュアルスタイルのどちらにもフィットする仕上がりになっています。

この度、ギヨシェの技法をふんだんに凝らした複雑模様の文字盤を最大の特徴とする、新しい『マエストロ』を発売いたします。ギヨシェとは、高級時計の文字盤に用いられる装飾技法のことをいいます。文字盤の表面に直線や曲線の模様を彫り込んでいくことで、高級感や立体感をもたらすほか、光の反射を抑えて視認性を高める効果があります。本商品は、クラシックコレクションである『マエストロ』らしい上品さと、文字盤の各所に施した異なる種類のギヨシェがもたらす奥ゆかしい表情を兼ね備えています。カラーバリエーションは、文字盤×ベルトがグラデーションブルー×ブラック、グラデーショングリーン×ブラウン、グラデーショングレー×ブラックの3種類です。

特徴
すっきりとしたバーインデックス、6時位置のスモールセコンド、同色のステッチを併せたマットなクロコ型押しカーフレザーベルトが、上品でクラシカルです。その一方で、文字盤にはクラシック時計らしいシンプルな単色ではなく、あえて濃淡をつけたグラデーションカラーを採用することで、こなれたモダンな雰囲気も併せ持っています。
知的でクールな印象を与えるブルー文字盤・グレー文字盤×ブラックレザーベルトの組み合わせは、ビジネスシーンとの相性も抜群です。カーキに近い落ち着いた色味のグリーン文字盤は、ブラウンレザーベルトとともにミリタリーシックな印象を与えます。

本商品の中核である文字盤の装飾には、規則的なパターンを彫り込むギヨシェの技法を取り入れています。スモールセコンドとアワートラックにカタツムリのような同心円状の模様(スネイル)、文字盤中央には独特の波型模様を描き、高級感と立体感を演出しています。見た人が思わず吸い込まれてしまうような、魅惑の表情をもつ文字盤に仕上がっています。

機械式時計ならではの楽しみ方として、スケルトン仕様のケースバックからムーブメントの動きを鑑賞することができます。デザイン性だけでなく実用性も高めるため、 3時位置に日付表示窓を備え、日常使いに便利な仕様にしています。2つ折りタイプのダブルプッシュ式フォールディングクラスプは、尾錠と比べて革への負荷が少なく、快適に着脱することができます。また、着脱時に時計が落ちるリスクも軽減しています。

【仕様】
マエストロ 2238
品番:2238-STC-50001、2238-STC-52001、2238-STC-60001

価格:¥247,500(¥225,000+税)
発売日:4月25日(火)

[ムーブメント]
キャリバー:自動巻き(RW4250)
機能:時間、分、スモールセコンド、日付
パワーリザーブ:38時間
振動数:28,800振動/時

[文字盤]
カラー:グラデーションブルー、グラデーショングリーン、グラデーショングレー
インデックス:アプライド仕様、バー
その他:ギヨシエ装飾

[ケース]
サイズ:径39.5mm、厚さ10mm
ケース素材:ステンレススティール
ベゼル素材:ステンレススティール
風防:サファイアクリスタル
ケースバック:シースルーバック(ステンレススティール、サファイアクリスタル)
防水性:50m
その他:リューズにRWモノグラムを刻印

[ストラップ]
素材:クロコ型押しカーフレザー
カラー:ブラック、ブラウン
ラグ幅/バックル幅:20/16mm
バックル種類:ダブルプッシュ型二つ折りフォールディングクラスプ(RWモノグラムを刻印)
バックル素材:ステンレススティール

【お問い合わせ】
株式会社ジーエムインターナショナル

[レイモンド・ウェイル]~「手に届く高級時計」を体現する
時計職人レイモンド・ウェイルが1976年に創業した、スイス・ジュネーブに本拠を置く独立系時計ブランドです。クオーツ式時計の台頭で危機に陥るスイスの伝統的な機械式時計産業を守るため、逆境の中であえて新しい時計ブランドを作り出したことから、歴史が始まりました。時計造りの核となっているのは、パーツ一つひとつに求めるクオリティです。針一本にも妥協せず、最高品質を追い求めます。選び抜かれたパーツを熟練の職人が丁寧に組み立て完成するプロダクトは、実直にものづくりに向き合うレイモンド・ウェイルの姿勢を表しています。

長い歴史をもつスイス時計産業では珍しく、ウブロスーパーコピーブランド 代金引換創業者一族による経営を持続しており、揺るぎないアイデンティティを確立しています。一族に脈々と流れる「ミュージック&アート」への深い造詣をコレクションに反映し、クラフツマンシップが感じられるクリエイティビティ、技術、品質、優雅さを兼ね備えたタイムピースを生み出し続けてきました。クラシックながら時がたっても色褪せない洗練された上質なデザインで評価されている『マエストロ』を始め、時代を超えて愛される気品あふれるコレクションを数多く残しています。また、著名な芸術家、有名音楽レーベル、世界的コンサートホールなどと国際的パートナーシップを組み、まるで音楽家が傑作を創るように生まれた腕時計は、現在世界95ヵ国3000店舗で展開しています。

ユリス・ナルダン「FREAK ONE」をリリース~

最初のリリースから22年を経た今でも、フリークは挑戦的なコンセプトを持ち続けています。現代の時計製造における最先端の時計のひとつでもあります。

初代フリークは、最先端の技術とアヴァンギャルドなデザインあふれる画期的な時計で、機械式時計とはどうあるべきか、どう動くべきかという認識を覆しました。反逆的なものの見方そのものです。「なんて風変わりな(whatthe-Freak)」時計だったことでしょう。

フリークのユニークな系譜を成してきた一連の記念碑的なモデルの数々を経て、今年、ユリス・ナルダンは「フリークONE」を発表します。ユリス・ナルダンのアイコンのルーツに帰るのです。

スーパーコピー時計 代引き「フリークONE」は初代フリークの3つの印象的な「文字盤がなく、針がなく、リュウズがない」という特徴にインスパイアされた新しい時計です。

2008年に導入されたシリコン製ヒゲゼンマイと、2007年にフリークに初めて適用した合成ダイヤモンドとシリコンのプラズマ表面加工「ダイヤモンシル」を施した脱進機によって、ムーブメントの耐摩耗性と耐衝撃性を高めます。

「フリークONE」はさらに、2001年の初代フリークのノッチ付きベゼルから、2013年のフリーク クルーザーのオープンギアトレインや、2018年のフリーク ビジョンの視認性のコードにいたる歴代フリークの視覚力学を総合しました。ブラックDLCチタンとローズゴールドのディテールは、昨年のフリークSのように近年のフリーク的反復を反映したものです。

「フリークONE」はユリス・ナルダンのフラッグシップウォッチとなり、ユリス・ナルダンの新たな独立を定義するにあたり、我々の重心になるでしょう。

フリークは常に時代を先取りし、前衛的な趣味を持つ探究心あふれるコレクターの目に留まってきました。20年以上がたった今、「フリークONE」がその歴史を凝縮します。


フリークの物語
2001年に登場したフリークは突拍子もない異端児でした。類を見なかった先駆的技術は、今日では21世紀の機械式時計製造には欠かせない技術となりました。

過去20年間のスイス時計の革命は、瞬く間に起こりました。ムーブメント、素材、デザインに大胆な革新がもたらされた時期で、発明のサイクルが絶え間なく続いていました。

ではその始まりは?「フリーク」です。

2001年、ユリス・ナルダンは、型破りな経営者ロルフ・シュナイダーと天才時計師ルードヴィヒ・エクスリンの指揮のもと、フリークを発表しました。それはまるで慣習や保守主義が支配する国に現れたUFOのような存在で、未開の地を行くクリエーションでした。文字盤も針もリュウズもないこの時計に、シュナイダーは唯一の名前をつけました。その名も「フリーク」。

時間を調整するときはベゼルに内蔵されたシステムを用い、巻き上げには裏蓋に内蔵された装置を使用します。針はなく、代わりに60分で1周するカルーセルトゥールビヨンで時刻を示しました。

ユリス・ナルダンはフリークを時計製造の実験場と捉えていました。エクスリン博士が、彼のデュアル ダイレクト脱進機という、まさに時計製造の天才的発明を初めて収めたのもフリークです。

先駆的だという所以はこれだけではありません。フリークは初めてシリコン製脱進機を搭載したスイス時計なのです。シリコンは軽量で弾力性があり、摩擦が少ない上に抵抗力も高く、耐摩耗性に優れています。2001年当時、時計製造にシリコンを用いることは急進的で、高価でした。それから20年が過ぎ、今や主流になっています。シリコンパーツを使用した現代のすべての時計は、フリークに端を発しています。

2001年以来、ユリス・ナルダンはリュウズのないシルエットが象徴的な「フリーク」に関して20以上の特許を取得しています。しかし、それでもなお「フリーク」な存在であることに変わりはありません。今日、新たに独立したユリス・ナルダンはフリークONEと共に、そのユニークな物語をまた歩み始めます。


文字盤、針、リュウズのない時計
20年以上前に高級時計製造の常識を覆して以来、フリークの象徴的なフォルムは3つの特徴によって定義されてきました。


NO DIAL
一般的に機械式時計は文字盤の下に、その機構を隠しています。しかし、フリークには文字盤がありません。フリークのムーブメントは分針の役割も担っており、時針はムーブメントの下にある回転ディスクに設置されたポインターです。

NO HANDS
型破りなフリークには、大きな針も小さな針もありません。1時間で1周するカルーセルトゥールビヨンが分針になり、時針は回転ディスク上のポインターに取って代わりました。挑戦的なデザインながら、読みやすさは抜群です。

NO CROWN
機械式時計の時刻合わせや巻き上げにはリュウズが必要であるというのが業界標準です。初代フリークは、リュウズの代わりにベゼルに組み込まれた時刻合わせシステムを使い、巻き上げは裏蓋の機構で行います。


ジャン=クリストフ・サバティエ・インタビュー
ユリス・ナルダンのチーフ・プロダクト・オフィサーが、時計製造の歴史におけるフリークの唯一無二な役割について語ります。

「スイスの時計製造におけるフリークのインパクトは計り知れません。」ユリス・ナルダンのチーフ・プロダクト・オフィサーのジャン=クリストフ・サバティエは言います。「脱進機にシリコンを採用したことは革命的でした。また、文字盤、針、リュウズのないデザインはまさに破壊的と言えます。フリークは時計製造業界で最初のハイパーウォッチです。時計愛好家にとって、時計製造には、フリーク以前と以後があるだけです。」

ジャン=クリストフはフリークのクリエイターたちは時代の最先端にいたと確信しています。
「ロルフ・シュナイダーとルードヴィヒ・エクスリン博士は、大きな愛情を込めて言うのですが、この二人はフリーク(異例、熱狂者)でした。彼らは完全に独立した考え方を持ち、狂気じみでいるほど勇気がありました。彼らは、より資源のあるプレーヤーに負けるかもしれないと知りながら大きな賭けに出たのです。彼らはそれに値するだけの評価を得ていません。彼らは21世紀の時計製造におけるルイスとクラークでした。以後、誰もが彼らの軌跡を辿ったのです。」

20年後、フリークはユリス・ナルダンの比類なきシグネチャーとなりました。
「フリークは真似できません。全くもって困難です。」と彼は言います。

昨年、ユリス・ナルダンは独立性を取り戻しました。
「今日、フリークは私たちの考え方を体現しています。フリークONEは私たちが何者であるかを新鮮に表現しています。高度なテクニカルウォッチでありながら、強く感情に訴える価値を持っています。ベゼルで時刻を合わせる時、あなたは生き生きとした何かを体感するでしょう。こうしたことがフリークを特別なものにしていて、真のコレクターたちがフリークを愛してやまない理由なのです。」


フリークの精神
フリークは先進的な技術を搭載していますが、使いやすく、丈夫で、毎日身につけることを前提に設計されています。

ベゼルとレバーロック
フリークの型破りな時刻合わせは、ベゼルを用いて操作します。6時位置にあるレバーロックを持ち上げるとセッティングシステムが解除され、操作が可能になります。ベゼルを回転させると、針の役割を兼ねているムーブメント全体が回転します。レバーロックを元の位置まで押し戻すと、ベゼルがロックされ、時刻合わせシステムを乱すことはありません。

香箱蓋
香箱蓋が12時間で1周し、時刻を表示します。アワーディスクにブラックのエングレービングサンレイパターンを施しています。

ミニットブリッジ
フリークの特徴的なミニットブリッジはサファイアクリスタルの下で旋回し、ギアトレイン全体、特大のシリコン製オシレーター、60分で1周するフライングカルーセルトゥールビヨンを乗せて運びます。脱進機には、特許を取得しているダイヤモンシルコーティングを施しています。

グラインダー®︎自動巻きシステム
フリークONEの自動巻きムーブメントは72時間のパワーリザーブを備えます。特許を取得しているグラインダー®︎自動巻きシステムは、わずかな手首の動きをエネルギーとしてうまく取り込めるよう設計されています。震動錘は4枚のブレードを搭載したフレームに接続されており、これにより巻き上げシステムの角速度が2倍になります。2ペダルの代わりに4ペダルを装着した自転車のようなものです。そのため、従来の自動巻きシステムに比べ、2倍のエネルギー伝達効率を得ることができます。

一体型ラバーストラップ
フリークONEは、ユリス・ナルダンの持続可能な未来に向けての活動にも着目しています。このラバーストラップは、ユリス・ナルダンのスイスのパートナーであるBIWI社によって、リサイクルされた製造廃棄物を30%使用して作られています。この柔軟性のある、耐水性のストラップはフリークONEの人間工学と着用感をさらに高めています。


【テクニカルインフォメーション】
フリークONE
品番:2405-500-2A/3D

[ムーブメント&機能]
自社製キャリバーUN-240
自動巻きムーブメント、72時間パワーリザーブ
時、分表示
自軸の周りを回転するフライングカルーセルムーブメント
特大シリコン製オシレーターとヒゲゼンマイ
脱進機にダイヤモンシル加工
グラインダー®︎自動巻きシステム、ブレードテクノロジー
スーパールミノバ®︎を塗布したローズゴールドのブリッジ
香箱蓋上にブラックのエングレービングサンレイパターン
部品数229/石数15
振動数3Hz、21’600V/H

[ケース]
44mm サテン仕上げブラックDLCチタン、5Nローズゴールドベゼル、ブラックチタンケースバックにサファイアインサート、30m防水、厚さ12mm

[ストラップ&バックル]
ブラックラバー「バリスティック」織りストラップ(2405500-2A/3D)、ブラックマットアリゲーターレザーストラップ (2405-500-2A/3D)
ツートンラバーストラップ(2405-500-2A/3D)
ブラックDLCチタン製フォールディングバックル
BIWI社(スイス)製、製造廃棄物からのリサイクルラバーを30%使用したラバーストラップ

価格:9,262,000JPY (税込)

[ユリス・ナルダン]~MANUFACTURE OF FREEDOM
ユリス・ナルダンは海の世界からインスピレーションを得て、自由な精神を尊ぶ方々のため革新的なタイムピースを製作するマニュファクチュールです。

1846 年にユリス・ナルダン自身が工房を設立、オメガスーパーコピー時計 代引き当社は時計史に数々の優れた功績を残し、極めて早い時期から海の世界とのつながりで名を馳せていました。海洋計器としてのマリンクロノメーターは、これまでに設計されたもの中で最も信頼性が高く、数多くの受賞歴があります。最先端技術のパイオニアであり、シリシウムなどの革新的な素材を積極的に利用するユリス・ナルダンは、自社で高精度部品およびムーブメントを製造できる技術力を備えた数少ない独立時計マニュファクチュールの1つです。

2001 年、メゾンは最初の「フリーク」を発表するとともに、現代の時計製造の在り方を変えました。ユリス・ナルダンは環境への誓約を実現するため、海洋プラスチック汚染を減らすためのアップサイクルの推進と、シンボルであるサメの保護に関する科学的知識の発展という2つの主要分野にフォーカスし、積極的な海洋保護活動を行なっています。今日、スイスのル・ロックルとラ・ショー・ド・フォンの自社マニュファクチュールで「マリーン」「ダイバー」「ブラスト」「フリーク」の4つの柱を軸に商品を展開しています。
2022年、ユリス・ナルダンと姉妹メゾンのジラール・ペルゴは、高級時計マニュファクチュールの独立したグループを創設しました。

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